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基礎断熱 vs床断熱 〜広島のっぽの設計事務所が見る未来〜

できるだけ、ブログではマニアックな話をしないでおこうと考えています。

それはなぜかというと、マニアックに突き詰めていくと何が建主や社会にとって

意義深いものかが見えにくくなると考えているからです。

ま、でも一応、温熱の専門家として、講演する機会もあるので、

たまには温熱のマニアックネタを。苦笑

 

広島エリアでは、床で断熱するのか、基礎で断熱するのかという議論が再熱しています。

それぞれのメリット・デメリットは以下

【基礎断熱】

・メリット 床下空間利用、地熱利用、気密性の向上

・デメリット 防蟻処理の難しさ、暖冷房面積の増加

【床断熱】

基礎断熱の反対のメリット・デメリット

 

本来日本は畳を始めとして、床断熱で家が作られてきました。

夏の湿気から家の土台を守るために、床下を外気に開放していたのですが、

採暖から部屋の暖房(こたつから部屋暖房)に移り、

床からの隙間防止で、基礎断熱が普及しました。

加えて、今流行りの床下エアコンがこの追い風になっています。

 

本来、基礎断熱の技術は北海道から来たもので、

シロアリのいない北海道と違い、本州では防蟻処置をどうするかという課題もまだまだ残っています。

 

このようにいろんな要素が絡み合っているので、今回は「地熱利用」にフォーカスしたいと思います。

地中の温度は一年を通して、15℃と一定のため、夏には冷房負荷削減、冬は暖房負荷削減に利用できると

考えられています。

 

土壌温度を農研機構が公表しています。

広島は17℃

北海道は5℃

北海道では気温が氷点下になるので、この5℃は暖かく、熱利用できます。

広島の17℃なので、もっと熱利用ができそうです。

ですが、もう一つ忘れてはいけないのは、土壌の水分量

残念ながら広島旧市内は三本の川で挟まれており、水分量が高い。

※上記写真は土壌分類ですが、広島デルタ地帯は不明となっています。埋め立て地であるということになります。

 

私は断熱材を布団に例えます。

湿気た布団は重たくて、暖かくない

天日に干した布団は軽くて、暖かい。

これは布団の中にある隙間に湿気た空気が入っているのか、

乾いた空気が入っているかにより熱の逃げ方が変わることを表しています。

 

まとめると、広島のデルタ地帯のような水分量が多いところは

基礎断熱をしても、地熱利用よりも、地面に熱が奪われる方が多くなります。

なので、床断熱の方がおすすめです。

このように「広島」という言葉だけでは、工法を統一できないのです。

 

「基礎断熱をする!」とマニアック決めてしまうと、

家づくりの重要にポイントを見逃すことになるかもしれません。

太陽にも素直に、敷地にも素直に設計と工法選択することが重要です。