
最近、メルマガはほぼ毎日、真面目に配信し続けているのですが、
ふと気づけばブログの更新がすっかり止まっていました。
メルマガの配信数は、気づけば2000通を超えました。
それに対して、まともなブログ記事は2022年7月が最後……。
丸4年ほど、この場所を動かしていなかったことになります。
そんな私(プレゼントデザイン)を信じ、
家づくりをご相談くださるお客様には、本当に感謝しかありません。
独立して13年。 節目というわけではありませんが、
これまでの振り返りを含め、
今の私が「家づくり」に対して抱いているリアルな思いを綴ってみたいと思います。
Contents
性能の進化と、その先にある違和感

私が独立して最初にいただいた仕事は、友人の家でした。
13年前、「日本の省エネ住宅を普及させたい」という志を抱いて独立したばかりの私は、
とにかく性能にこだわりました。
当時のこだわりを詰め込んだその家は、
現在の「断熱等級5」に相当します。
気密測定も必死に頑張り、C値1.2をでした。
業務用エアコンを導入した全館空調にも挑戦しました。
2026年現在からみれば、一般的な性能でしたが、
当時の私にとっては、大きなチャレンジだったのは事実です。
しかし、結果として後にエアコンを追加することになりました。
友人の家だからという甘えはなく、
私自身も費用を負担しながら、
どうすればもっと快適になるか、試行錯誤を繰り返しました。
こうした泥臭い経験の積み重ねが、今の私の標準を作っています。
「窓の近くが寒く感じる」というお客様の声に応え続け、
今では付加断熱+樹脂トリプルガラスの「断熱等級6〜7」が当たり前になりました。
空調計画も改善され、現在では自信を持って「快適な家」をお引渡しできています。
ですが——。
AIで誰もが簡単に情報を手に入れられる今、
かつて省エネの普及に燃えていた私は、あえてこう思うのです。
「性能の話は、もう、ほどほどでよいのではないか」と。
決して興味を失ったわけではありません。
設計においてエネルギーを注ぐべき「大事な場所」が、次のフェーズへ移行したのです。
本当に「ペアガラス」ではダメなのか?

ネット上の情報は、常に一方通行です。
しかし、本物の設計とは、施主と設計者の血の通った「相互理解」から生まれるものです。
ある時、リビングや和室の大きな窓に「障子をつけたい」というお客様がいらっしゃいました。
障子はそれ自体が優れた断熱部材です。
そこで私は「窓はあえてペアガラスにして、
その分を他に回しましょう」と提案しました。
ただ、水回りの小さな窓については「ここはトリプルにしておきましょう」ととお伝えしたのですが、
お客様はこう仰いました。
「寒さを感じたいので、ペアガラスで良いです」
これこそが、設計の醍醐味です。
ネットで「水回り ペアガラス」と検索すれば、結露のリスクが山ほど出てくるでしょう。
しかし、躯体の断熱や樹脂枠という基本性能がしっかりしていれば、一時的な結露も翌朝には乾きます。
数値を提示して説得するのは簡単ですが
今回はあえてしませんでした。
なぜなら、大事なのは計算結果ではなく、
その人の「暮らしの温度」を決める設計だからです。
数値性能がくれる「安心」の正体

今や、多くのお客様がUa値やC値を理解されています。
13年前、プロであるはずの住宅会社の人間がUa値とC値を混同して話していた
「省エネ黎明期」を知る私からすれば、驚くべき変化であり、感慨深いものがあります。
しかし、今の私はUa値やC値の「数字そのもの」には固執していません。
語弊を恐れずに言えば、地域ごとに必要な断熱の厚みは自ずと決まるため、
その結果として出る数値がUa値であればいい、と考えているからです。
C値も「0.5以下」という基準は持っていますが、
現場によって0.1になったり0.4になったりします。
私は全棟で「0.1」を競うようなことはしません。
なぜなら、設計も現場も、使える時間と予算は限られているからです。
数字を追い続けると、苦しく疲れる家づくりになります。
その限られたリソースを「性能の数値」だけに振り切ることは、
住まい手にとって最善ではないと確信しています。
数字は「安心」をくれるかもしれませんが、
数字が良いだけで「良い家」になるとは限らないのです。
それは、性能値ばかりを強調する大手ハウスメーカーの家が、図らずも証明しているように思います。
窓の在り方:40年で壊される家にしてはいけない

このイラストは、私が以前インスペクション(住宅診断)をした家をイラストにしたものです。
窓をコーナーに配置すれば、目の前の公園の美しい緑を取り込めるのに、
なぜかルール通りに壁の中央に窓がある。結果、見えるのは「隣家の屋根」だけです。
どんなに性能が高くても、住む人がその家を心から愛せなければ、
世代が変わった時にその家はあっさりと取り壊されてしまいます。
高性能住宅に使われる樹脂や断熱材の多くは石油製品です。
長く使い続けることでその環境負荷を上回る恩恵が得られますが、
わずか40年で壊されてしまえば、その効果は半減してしまいます。
私は「建築家が作るような高価なものを選べ」と言いたいのではありません。
「窓の在り方」をもっと真剣に考えてほしいのです。
「北側は寒いから窓を小さくする」 それは温熱の理屈ですが、
もし北側に最高の景色があるのなら、
窓を小さくすることは「家を長く愛し続ける理由」を奪うことになり、逆効果にさえなります。
「失敗しない家」を建てることだけを目標にしないでください。
「どんな暮らしをしたいか」を考えてください。
そうすれば、数値に追われる苦しい家づくりは、
ワクワクする楽しい時間へと変わるはずです。
性能ではたどり着けないもの

断熱性能が作れるのは、「快適な温度」までです。
もちろん、今まで過酷な環境で暮らしてきた方にとって、
それは何物にも代えがたい喜びでしょう。
しかし、人は温度に慣れます。 暮らしとは、そういうものです。
だからこそ、私は**「窓を通した、内と外のつながり」**
を大切にしてほしいと願っています。
「自分はこの階段のここがお気に入り」 「あの人は窓辺のソファの場所が大好き」
そんな、家族それぞれの愛着が時間を刻んでいく家を、私は作りたい。
性能への追求を「ほどほど」にして、その先の楽しみに目を向けたとき、
本当の豊かな暮らしが待っています。
ここまで、お伝えしても性能について知りたい方は、
過去のブログをよろしければ、お読みください。
……と、日々こんなことを考えながら、メルマガを(だいたい)毎日書いています。
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