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既存住宅長期優良住宅認定 〜広島のっぽの設計事務所が見る未来〜

今日は愚痴というか、国に噛みつきます。

昨年から、工務店さんからの依頼で、既存住宅の長期優良住宅認定の準備をしてきました。

この建物は鉄筋コンクリート造で、新耐震基準で建てられています。

状態も良く、省エネルギー性能だけがポイントだと考えていました。

ですが、現在八方塞がりです。

その項目は省エネではなく、「劣化性能」

元々、既存住宅の長期優良住宅認定基準は

補助制度を運営している建築研究所の審査基準から、

国交省が改めて、告示を交付したものです。

劣化基準ではコンクリートのコア抜き(円柱上のテストピースを採取)し

それを試験場で、表面からどれくらい中性化しているかを検査して、その結果を添付します。

しかし、ここで問題が、建築研究所の基準では、

「原則として仕上げをしていないところをコア抜きすること」となっていますが、

告示になるとこの「原則として」という文言が消え去っています。

つまり、仕上げをしているところのコア抜きは認められないということになります。

当初から認定基準は建築研究所の基準を準拠していると審査機関からアドバイスをもらい、

その基準を元に書類をつくって、温熱計算のエラー対応を終わった後に、

この告示の話になりました。

もちろん、諦めず、国交省まで問い合わせましたが、

今度は「同等性能証明」を取れば、申請が進むとアドバイスをいただき、

この同等性能証明は、今回のケースで採用されたことはなく、

その実験方法も含めて、いつ結果がでるかもわからず、

どれくらいの費用になるかもわからないとのこと。

要するに、戸建て1軒のためには到底現実的ではないことが今日判明しました。

ちょっとやそっとのことでは諦めない私ですが、

本当に八方塞がりです。

これでは状態のいい建物であっても、鉄筋コンクリート造であれば、

長期優良住宅の認定を受けることはできません。

そもそも仕上げのしていないコンクリート造などありえない。

マンションのパイプスペースくらいしかないと思います。

そもそも扉で外気と区画されているパイプスペースの壁が、

仕上げがかかり、雨にも外気にもさらされている外壁より、

中性化が進んでいるとは到底思えない。

 

中国エリアではまだ、1軒も既存住宅の長期優良住宅認定を受けた

建物はありません。

今回はいきなりハードルが高い、鉄筋コンクリート造でしたが、

政治家への忖度をする暇があるなら、

民意に沿った、建築制度をつくってほしいと、思います。