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小気味の良い住宅 〜広島のっぽの設計事務所が見る未来〜

インスペクションで中古住宅の調査に行くと

たまーに「小気味のいい住宅」に出くわします。

昨日もそんな物件に出会ったので、売り主様に了解をいただいて、

調査後、少しパシャリと

この家は窓も中の建具もすべて造作されています。

今は窓といえばサッシ、中の建具も既成品になっていますが、

昔は建具屋さんが全部作ってました。

そんな懐かしい、ぼろんちょの大阪実家を思い出します。

トイレの建具ですが格子戸、この内一本がカンヌキになっていて、鍵がしまります。

 

中からはこれであける。

2階のトイレは、廊下との壁に穴があり、裸電球が!

やるなこの大工!!ま、プライバシーも全くないですが・・・

 

プライバシーもですが、このような小気味のいい住宅は

今から必要とされる、耐震性や省エネ性は0に近い。

 

普段は省エネを推進する側にいるので、

端から私を見たら、こんな家壊せって言いそうと思われますが、

私は残したいんですよね。こういう小気味のいい住宅を。

 

もちろん、このままじゃダメなので、創意工夫をして改修をして。

インスペクションは中立公平性が必要なので、

設計者としての営業活動はできませんが。。。

 

こうした土壁の家を残そうという動きも実はちゃんとあるんです。

伝統建築を残すため、断熱性能は問わないというのが、

「気候風土適応住宅」という制度です。

この基準は都道府県に委託されてますが、残念ながら広島には基準が確立されていません。

 

ただ、これを乱用してはいけないと私は思っています。

これはあくまでも改修として活用していくべきだと。

大雑把な基準としては、都道府県が作った地域の気候風土にあった建築であれば、

断熱性能は問わないけど、エネルギー消費は基準を守ってね。という制度です。

これはイメージ化すると、真壁の無断熱の家に太陽光発電が満載されている感じ。。

それってどうなのと思います。

 

新築でつくる土壁や真壁はちゃんと断熱性能と融合させるべきですし、

そもそも省エネ基準はそこまできびしくないので、窓の性能と屋根の性能をあげれば

そんなに難しくない。

 

でも、この工法を逆手にとって、新築で断熱性能を否定するのはちょっとと思います。

 

私は上記の小気味のいい住宅を残すために、

新築はもっと頑張らないといけないと考えています。

中古住宅の省エネ性の限界分、新築が補う。

それこそが、新しい伝統を生むと、思います!