さて、プレゼントデザインが考える家造り第一弾です。
前回まで、既存住宅が余っているなか、新しい家を建てるのは
「わがまま」であり、そのわがままを通すのであれば、
未来も考える覚悟が必要とお話しました。
私は省エネを得意とする設計事務所ですが、
最初に考えるのは高気密高断熱住宅ではありません。
最初は何で作るのかというお話です。
現在家をつくるとすると、鉄筋コンクリート造、鉄骨造、木造が考えられますが、
プレゼントデザインは「木造」を推奨します。
なぜなら
日本の国土の77%は森林だからです。
私は省エネセミナーなどでもよくいいますが、
まず設計で考えるべきは、「周辺環境」です。
どのように風が入り、どのように日射が入るかが快適な空間の第一歩です。
私は構造も同じと考えます。
地域で育った木材で家をつくることは、とても効率的で理にかなっています。
もちろん、中規模建築になるアパートやマンションは木造の限界がありますが、
これからは全部鉄筋コンクリートではなく、木造との融合が中規模建築にももとめられるべきと考えます。
これは国の方針も同じで、小学校などの公共建築の木造化が推奨されています。
これは生活者の皆様も同様の意見で、日本で作られる戸建て住宅は
木造が圧倒的なシェアを占めています。
もちろん、価格的なこともありますが、
私は木を愛する文化は日本人のアイデンティティであると考えます。
しかしながら、木造といってもいろんな木造があります。
先に上げたとおり、国土の66%が森林であるにもかかわらず、
木材の自給率は27.8%にとどまっています。
これは日本の街の多くは沿岸部のため、たくさんの港に接していることが要因です。
山から切り出した地域材よりも、遠い外国から船で運んだ外材のほうが安くなる・・・
結果、せっせと安い外材で家を作り、日本の林業は衰退しつづけています。
確かに家を安く建てれるのは魅力かもしれませんが、
その裏で伐採されない森林からは花粉が飛び、
人が入らない森は治水力が落ち、土砂崩れなどの災害を起こします。
温暖化が進み、亜熱帯化が進む日本にとって、森林に健康を取り戻させるのは急務です。
しかも、日本だけの問題ではありません。
安価の木材を求めることにより、世界各国で不法伐採が進み森林面積が減少しつづけています。
生活が貧しい国にとって、未来のために計画的に植林することよりも、
ある木を切って売る方が重要な生きる術だからです。
最近では自然素材の住宅がブームです。
私も自然素材を推奨する立場ですが、その木材がどこから来た材料かを
把握するべきです。
森林資源が豊富な日本で家をたてるのに、海外の森林を丸裸にする家造りを
「エコハウス」と呼んで言い訳ありません。
日本では針葉樹が多く、戦後70年を超えた日本の森林は杉や檜の柱材がとれます。
まず構造材は国産材を指定するべきです。
また、飛行機から日本の山を見下ろせば、冬に葉が落ちない針葉樹だけではなく、
落葉している広葉樹もたくさんあります。
日本にもフローリングなどに使える木がたくさんあるのです。
林業側は杉・檜しか売れないと思っていますが、
それは私達が使おうとしないからです。
ぜひ、家造りのまえに周囲の山を見渡し、
山に入ってみてください。
百聞は一見に知らずです。
かならず、その山の木を使いたいと思うはずです。
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