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外装工事 〜広島のっぽの設計事務所が見る未来〜

今日で3.11から8年ということですね。

私はこの8年で、工務店を退職して、設計事務所として

省エネ普及する道を選びました。

様々な要因はありましたが、私にとって8年前に流れていた

テレビの映像は強烈ですし、半年後に東北にレンタカーで

走り抜けた経験も私の礎となっています。

お亡くなりなられた方にご冥福をお祈りするとともに、

社会のあり方に貢献できるように、家づくり、街づくりへに邁進していきます。

さて、前回の続きです。

今回は外装工事を解説します。

外装下地(耐力面材)

基本的な事項として、外壁は壁であるので、そこに耐震性をもたせるための

耐力壁が多く配置されます。

その際に筋交と構造用面材という2つの選択肢が生まれます。

筋交いは上記写真のものを指しますが、これを外壁に入れると

筋交い部分が熱橋となってしまいます。

木は断熱材として勘違いされがちですが、木材の熱伝導率(熱の通しやすさ)は

0.12w/mKで、一般的に断熱材は0.04w/mKで断熱材の3倍熱を通します。

もういなくなったかもしれませんが、一部の建築家がコンクリートは断熱材だと

言われてましたが、コンクリートの熱伝導率は1.6w/mKなので、

100mmの断熱材と同等の断熱性能にするためには4000mmつまり4mの厚みが必要です。

話が脱線してしまいましたが、上記よりプレゼントデザインでは、外壁材は耐力面材を施工します。

上記写真を見れば、断熱材もきれいに入ることが明らかです。

外装下地(通気層)

耐力面材の上に透湿防水シートを施工し、「通気胴縁」を打ちます。

この通気胴縁は文字通り、構造躯体と外装材の間に通気層をつくることで、

構造躯体の乾燥を促します。透湿防水シートも文字通り、湿度は通すが水を通さないというシートです。

木構造の弱点は水分です。水分により、腐りやシロアリ被害につながるため、フラット35や長期優良住宅でも推奨されています。

通気層を取らなくても良い方法もあります。

それは構造材に特殊な防腐防蟻材を圧入することです。

この方法は工場でしかできませんので、コストアップに繋がります。

外装材 化粧サイディング

一般的な外装材はサイディングかと思います。

化粧サイディングは安価な材料のため、多くの方が選択されますが、

コーキングなどの劣化のため、15年〜20年で塗装工事がされます。

屋根工事でも書きましたが、足場をかけての改修工事が多いほど、

ランニングのコストがかかるため、プレゼントデザインではできるだけ

使わないようにしています。

外装材 サイディング+塗り壁

これは可部の家野外部写真です。

下地材はサイディングを施工していますが、

コーキングにパテ処理をして、塗り壁により

一体化をさせます。これによりコーキングが表にでず、

劣化を防ぐ事が可能になります。

外装材 ガルバニウム鋼板

海風の家はガルバニウム鋼板の波板で仕上げました。

ガルバニウムも耐久性能が高く、軽い素材でデザイン的にも魅力的なのですが、

弱点があります。それは火に弱いことです。

日本の都市計画区域内のほとんどで、外装材の防火性能(もらい火対策)が必要です。

そのため、海風の家では、ガルバニウム鋼板の下地として、石膏ボードを施工しています。

外装材 左官仕上げ

魅力的な仕上げ方法の一つとして、左官屋さんが仕上げる外壁仕上げがあります。

モルタルや、近年では火山灰を使った仕上材があります。

昔は通気層なしで、鉄製の網を構造体に貼り、その上にモルタルを塗っていました。

昔の砂材は塩分濃度が高いことも有り、鉄製の網などが腐食し、

また建物の耐力壁不足などにより、地震や強風時の建物揺れにより、

ひび割れ等が多く起き、嫌厭されて、サイディング材に取って代わられました。

しかし、ステンレス製の網を使った、通気工法での左官施工の確率などで、

ひび割れの起こしにくい外装材として、生まれ変わっています。

ネックは高価であることですが、左官屋さんの手によって作られる外壁は

なんとも言えない、魅力ある外観となります。

外装材 木製

これは能美歯科医院の外装で採用した木製の外壁材です。

今まで紹介した中で、一番高価な材料ですが、

ここはバス通りのため、院長先生にお願いして採用していただきました。

もちろん、特殊な加工がしてあり、防火性を持った木材です。

外観づくりは街づくり

自身の家をつくるにあたって、一番大事なことは自分たちが満足する家と思いがちですが、決してそれは正解ではありません。

例えば、法律が許すからといって、太陽光発電がたくさん乗るように片流れの大きな屋根をつくるひとがいますが、その後ろには家があります。

しかもそんな家が立ち並ぶと街の美しさは失われます。

上記は関東の師匠からいただいた、ある建売住宅です。

片流れで太陽光発電を設置していますが、奥の家の屋根に影がかかり、

おそらく発電しないでしょう。

こんな家が立ち並ぶ団地は、魅力的であるとはいえませんし、

魅力的でなければ、世代交代するころには、人口減少をしていく時代の現代であれば、この団地はなくなるでしょう。

つまり、数千万円かけた家が一代でしか、使うことができないのです。

能美歯科医院でも木の外壁材を採用したのは、ここがバス通りで、

毎年ほおづき祭りという町民が集まるイベントがあるからです。

こうした街としての魅力をつくっているのが一つの建築であります。

これは建築家のエゴではなく、住まい手にとっても、魅力ある町をつくることにより、自身の資産を守ることにもつながるのです。

ぜひ、周囲の環境に目を凝らし、歴史を紡ぐことができる、

街づくりにご参加ください。