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雨漏りの原因とその応急処置 年間検査数20件の一級建築士が解説します!

毎年、大雨が増えてきています。

長く続く梅雨、次々とやってくる台風。。。

以前よりも建物が雨にさらされるリスクは

年々増えてきています。

 

このブログにたどり着いたあなたも、

今、雨漏りに直面しているのかもしれません。

 

そんなあなたに年間20件以上の建物を調査する

一級建築士の川端が雨漏りの原因とその応急処置を解説します。

 

雨漏りの原因と応急処置① バルコニー・屋上

広くて、大きなバルコニーは魅力がありますよね。

しかし、勾配がゆるいバルコニーは雨漏りリスクの高い場所になります。

 

特に屋上がバルコニーになっている建物は要注意!!

 

夢焦がれて作った、屋上バルコニーは

3階や4階部分にあり、

実は普段あまり使わなくなっていることがあります。

 

確かに、1階にLDKがあった場合、

3階や4階部分に食材を持って、

BBQはなかなか現実的ではないのかもしれません。

 

現在、木造住宅ではバルコニーはFRP防水が主流です。

FRP防水は船と同じ素材ですので、

防水性は高いですが、完璧ではありません。

 

それが上記写真の排水口。

 

キッチンや洗面所などのシンクと同じように

バルコニーの降った雨を外に流す役割があります。

 

あまり人が来ないバルコニーは排水口に葉っぱなどの

ゴミが溜まっていることがあります。

 

まさしく、キッチンや洗面所の排水口も

ちゃんと掃除が必要と同じように、

 

バルコニーもこまめに掃除をしないと

プールのように水がたまります!!

 

一定以上、雨がたまると、

潜水艦ではない住宅は隙間から

雨が室内に入ります。

 

バルコニーの下から漏水があったときには

まずは排水口にゴミが溜まっていないか、確認しましょう。

 

雨漏りの原因と応急処置② 窓

窓は外壁に穴を空けて、取り付けているので、

雨漏りリスクの高い場所になります。

 

窓廻りの雨漏りの原因としては、2つが考えられます。

・サッシ自体の劣化

・窓と外壁部分の防水施工不良

 

アルミサッシが戦後に多くの住宅に採用されています。

それ以前の木製サッシに比べ、

耐久性も高く、水密性も良いのが特徴ですが、

アルミは温度を通しやすく、古いアルミサッシは

 

伸び縮みを繰り返して、

部材に隙間ができてしまいます。

 

この場合、窓自体から雨漏りを起こすことがあります。

 

 

次に比較的新しい住宅でも、窓まわりから雨漏り事故は多く起きております。

窓廻りの防水性は外壁を仕上げる前に適切に施工しているかどうかが、

ポイントです。

 

建物全体を防水紙でくるみ、外壁から雨が入ったとしても、

防水紙で建物内への雨水の侵入を防ぎます。

 

この防水紙に穴が空いていたり、

重ね代が不十分の場合は雨漏りのリスクが高まります。

 

残念ながら、この両方の場合において、

素人のあなたがその場でできることは限られています。

 

上記は塗装するときに、窓を汚れないように目張りする

テープ付きの養生シートです。

 

窓まわりをしっかりと拭いて、

この養生シートなどで、

 

窓に直接雨がかからないように応急処置をしましょう。

 

雨がやんだら、工務店などに相談し、

必要があれば、外壁材を撤去して、

適切な防水工事を行ってください。

 

雨漏りの原因と応急処置③ 外壁

きれいな仕上がった外壁からも雨漏りをすることがあります。

上記写真は実際に雨漏りがあり、

調査依頼があった住宅ですが、

ぱっと見た目では悪いところは見当たりません。

 

可能性があるのはシルバーの部分が怪しく見えます。

 

ここはバルコニーの手摺部分です。

 

通常、雨は上から降ると思いがちですが、

実際は真横から降ることが往々にしてあります。

 

台風、道路や川から吹く風などの影響です。

 

最終的に外壁を剥がし、調査した結果、

上記の写真で指差しをしている小さな穴から

雨が侵入したことがわかりました。

 

このケースでは普段の雨では雨漏りはせず、

風を伴う雨の場合に雨漏りが起きるということがヒントとなりました。

 

しかし、どちらにしても

調査は外壁を剥がすなど、大掛かりで、

時間のかかるものとなります。

 

本来であれば、施工中にこういったリスクを

取り除く事が大事なのですが、

この当たりは施工者の力量に大きく関わるので、

雨漏りが起きる前に第三者による工程検査が推奨されます。

 

この外壁からの雨漏りの場合は、

位置を特定するのが難しいため、

バルコニーの笠木など、怪しい場所にブルーシートや、

先ほどの養生シートなどをかけ、

 

隙間部分に直接雨がかからないようにすることが

応急処置になります。

 

雨漏りの原因と応急処置④ 屋根

雨をまともに受けているのが、紛れもなく屋根です。

そのため、様々な工夫により、雨漏りの起こらない工夫がされていますが、

先ほどとどうように、近年では雨が上からではなく、

風を伴い横から降り注ぐことがあります、

 

この場合、屋根材の隙間を通り逆流することがあり、

年数がたった屋根の場合、雨漏りを起こすことがあります。

 

上記写真内の黒い紙は防水紙である

アスファルトルーフィングですが、

昔のものは性能が悪く、経年変化により

破れてしまっています。

 

残念ながら屋根の場合、

応急処置はたらいなどで受けること以外ありません。

 

屋根の作業は職人でも危険を伴います。

 

決して、素人のあなたが屋根にあがるようなことは

しないようにしてください。

 

壁などに比べ、

屋根からの雨漏りは下に水が流れていくので、

木材が湿潤状態になることは少ないです。

 

天気が回復したから、

工務店や屋根屋さんに相談しましょう。

 

 

また、たまに

晴れているのに雨漏りをした!

という相談を受けることがあります。

これは大体が冬に起こり、

灯油ストーブで暖房しています。

 

上記写真は間仕切り壁部分上部に気流止めという

室内の暖気を止める部材がない住宅の写真です。

 

冬場に灯油ストーブで暖房すると、

湿気た暖かい空気が上昇します。

 

そこに断熱材などがしっかりとないと、

天井をすりぬけて、屋根の裏まで、

暖気が到達します。

 

これにより、屋根の裏で結露するのです。

 

これは雨漏りではなく、

断熱材不足によって、起こされたものです。

 

断熱材不足は結露の問題だけではなく、

光熱費にも影響しますので、

お財布に余裕がある方以外は、下記ブログを確認してください。

 

断熱性能と費用対効果ブログ

 

雨漏りの原因と応急処置⑤ 屋根と外壁のとりあい

最近では20代のための家づくり

などの謳い文句で、ローコスト住宅のコマーシャルが

テレビから流れてきます。

 

このローコスト住宅のほとんどは

屋根の軒がでていません。

 

軒がない家は上記写真のように、

屋根と外壁が同じラインで納まっていることをいいます。

 

先にも書きましたが、

雨は上からだけではなく、横からも吹き込みます。

 

軒のない家は外壁と屋根の取り合い部分である

防水の弱点が雨ざらしになります。

 

しかも足場がないと何も対応することができません。

 

確かに初期コストは安くなるかもしれませんが、

メンテナンス費用がたくさんかかる家になりますので、

 

こうした家を買わないことが一番の雨漏り対策になります。

 

ローコスト住宅としっかりとした家の

建てたあとの費用とまとめたブログがあります。

一生に2回家を建てたい方は読まなくて大丈夫ですが、

1回だけ良い家を建てたい方は、

読まれることを推奨します。

 

家のメンテナンス費用を抑えるブログ

雨漏りの原因と応急処置 まとめ

最後に雨漏りの原因とその応急処置のまとめです。

①ルーフバルコニーはこまめな掃除が大切

②窓からの雨漏りは窓に雨がかからないようにシート張り

③外壁の雨漏りは原因究明が困難。怪しい場所にシートを

④屋根の雨漏りは決して屋根の上に上がらないで!もしかすると結露かも

⑤軒のない家は雨漏りリスク大

 

最後に訪問営業などでくる雨漏り修繕会社がいます。

「お宅の屋根、老朽化で雨漏りしそうですよ。」

 

などと言ってきます。

 

優秀な工務店などは、忙しく訪問営業などしません!!

 

鵜呑みにして工事をすれば、

逆に乱雑な工事をされ、雨漏りを起こすこともあります。

決して訪問営業の会社に依頼せず、

信頼できる会社を探してください。

 

筆者の川端は設計事務所を主宰する傍ら、

年間20件以上の建物を調査しています。

 

残念ながら、良い施工者だけではないということを

嫌というほど見てきています。

 

ブログではあまり言えないことを、

メルマガというクローズな形でお伝えしていますので、

家づくりに悩まれている方はぜひ読んでいただきたいと思います。

 

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