私が子供の頃は、冬は家族でこたつに足を入れ、
トイレに行くには震えながら、いやいや向かい
夏はうめき声がでるような夏の暑さの中で暮らしていました。
最近では、リビングにはこたつはなく、
ソファで比較的、薄着で生活をしています。
確かに50年前に比べれば、
日本の住宅は改善されていますが、
実はまだまだ改善の余地があります!
こたつのような局所暖房ではなく、
部屋全体を暖めるような生活をするには
建物の断熱性能がとても大事です。
建物の性能は
現在家を建てる方にとっても、
かなり興味深い話ですので、
さまざまな工務店や設計事務所が
Youtubeなどで解説しています。
そんな中、
どこまで断熱性能をあげればよいのか??
と悩まれている方が多く、
そのヒントとなるように
建物性能の費用対効果について、
解説ブログをつくりました。
でも、Youtubeも、
私の解説ブログも、実は現実的ではないのです!
なぜなら、それは仮の敷地、プランでの話だからです。
たとえば、プランはこんな感じ。
これは日本の省エネ基準の元になっているプランです。
日本で一番有名な間取り笑。
建築研究所という機関がこの間取りの家を
実際につくり、4人家族の生活パターンを入力して、
どれくらいエネルギーが使われるか計測した結果、
日本のエネルギー基準が作られています。
この建物は120㎡あります。
しかし、あなたが作る家が120㎡より、
大きいかもしれないし、小さいかもしれません。
このプランは吹き抜けはありませんが、
あなたの家は
吹き抜けをつくらないと太陽の光が入らないかもしれません。
吹き抜けがあれば、リビングのエアコンは
2階まで暖めたり、冷やしたりしないといけません。
つまり、仮の家のシミュレーションでは、
「これくらいの性能の家がいいな」はわかりますが、
自分の家がどんな室温になり、
光熱費になるかはわからないのです。
だから、さまざまな問題が置きます。
G3なのに寒くて、光熱費がかかる家
2階が暑くて、寝づらい家
などが生まれてしまいます。
最終的には
敷地を読むチカラ
がとても大事です。
今回はお客様からの了承を得て、
実際、プレゼントデザインが設計中の住宅の
温熱シミュレーションをご紹介します。
Contents
建築研究所プランでのシミュレーション
上記は実際に、お客様からお問い合わせをいただいた際に
ご提出した外皮性能を高性能化した場合の費用対効果シートです。
この時はまだお会いもしてませんので、
もちろん、建築研究所プランでの試算です。
資料的にはUa値 0.28、G3性能レベルは
改修年数は30年を超えてしまって、
なかなか採用しづらいなという印象です。
これは建築研究所プランがリビングダイニングが
小さいため、低性能な住宅であっても
冷暖房費が抑えられていることが影響しています。
しかし、これはあくまでの仮想のシミュレーション
今回正式に設計依頼をいただき、
私がプランした場合のシミュレーションを見ていきましょう。
28年基準の温度と光熱費
実際のプランはお見せすることはできませんが、
今回の計画は広島県福山市が建設地で、
床面積が167㎡あり、LDKと2階が吹き抜けでつながっています。
メインの居室は吹き抜けも含め、72.5㎡もあります。
うわぁ、寒そう。。。
という印象ですよね。
28年基準という性能でこの家を建てた場合、
冬の15℃以下になる時間が50%を超え、
夏も30℃を超える時間が7%あります。
このような結果になるので、
ローコスト住宅の営業マンは
吹き抜けは寒くなるからやめたほうがいい
と小さなリビングを勧めてきます。
もちろん、冷暖房をする空間が大きいわけですから、
光熱費も増大します。
これは冷暖房費だけですから、
給湯、照明、換気などをいれれば、
年間の光熱費は30万円を超えてきます。
それを払い続けることができる
お金持ちの家という印象になってしまいます。
これでも国が近い将来最低基準と定めようとしている性能なので、
性能が上がると、どう変わるか見てみましょう。
G1基準の温度と光熱費
G1性能にした場合の室温のシミュレーションです。
あまり、28年基準と変わらないですね。
実はこれは私の主観が影響しています。
28年基準やG1レベルを作る会社は
気密測定をしている会社はほぼ0である
考えています。
よって、C値3の想定にしています。
28年基準はC値4。
もし、このブログを見て、
G1だけど、気密測定をしているという方がいらっしゃたら、
その気密測定値を教えていただければ、
シミュレーションをやりなおします。
ご連絡ください。
28年基準〜G1の場合、
実務者の温熱施工に対する意識が低いのが実情です。
室温は大きく変わりませんが、
G1性能にすることにより、光熱費は抑えられています。
ヒートショックのリスクは下がりませんが、
光熱費上昇による家計圧迫のリスクは軽減されます。
G2基準の温度と光熱費
G2性能になると一気に室温環境が変化します。
※プレゼントデザインのG2はUa値0.36あるので、G2.5くらい?
15℃を下回るのが1%、30℃を超えるのも1%です。
念の為に、再度お伝えしますが、
吹き抜けのある比較的大きな家です!
これで、
「吹き抜けがあると寒いからやめたほうがいい」
は嘘であることが証明されました。
ただ、こんな声が聞こえてきそうですね。
光熱費がすごいのでは???
167㎡、50坪の家の一年間冷暖房費が41,833円になりました。
一年間ですよ。
瀬戸内海沿岸部の温暖なエリアでも、
G2になると光熱費と室温が一気に変わります。
温暖地の問題は次ですよね。
G3基準の温度と光熱費
G3性能、つまり外壁に充填断熱に加え、付加断熱を行い、
窓にトリプルガラスを採用すれば、この性能になります。
性能を上げた分、15℃以下、30℃以上の時間も
ほぼなくなります。
光熱費はG2と比べると、7,000円ほど下がるのにとどまります。
しかし、G2とG3の比較をしても仕方ありません。
最初の比較に戻りましょう。
実物件の費用対効果
お客様はG2とG3を迷われていました。
最初の建築研究所プランであれば、
G3の費用を回収するには32年かかるからです。
実際の設計でシミュレーションを踏まえ、
かつ、施工予定会社にG2とG3の差額を出してもらいました。
それが私の想定よりやすかった。笑
嬉しい誤算です。
G2の改修年数は8年、G3の改修年数は12年、
もちろん、G3の方が建設コストは高いですが、
やる価値がありませんか??
今回、お客様はG3で計画をすすめることを
決断されました。
高性能化をすすめるポイント
自分が住む住宅が経済的で快適な空間になる
皆さんそんな家がほしいですね。
もちろん、私もそういう家を作りたいと思います。
そのためのステップをお伝えします。
①建設地の最低限必要な性能を把握する
北海道と九州では求められる性能は当然違います。
中国エリアでも、鳥取と広島は違います。
建設地での必要な性能を把握することは絶対条件です。
プレゼントデザインでは無料で、全国シミュレーションしますので、
ご希望の方は下記よりお申し込みください。
※メールアドレスと建設地の入力でお申し込みいただけます。
②敷地を読み取ることができる会社を選ぶ
今回のシミュレーションでは間取りはお見せできませんが、
快適で経済的な住環境をつくるには
まずは窓の設計を行うことが重要です。
窓の設計とは、ちゃんと光が入るところに窓を配置することです。
簡単なようですが、周辺環境を読み取る力がなければできません。
温熱を売りにしている会社でも意外とできていないので注意が必要です。
見分け方は、お客様の光熱費データや感想を教えてもらえれば、
間違いありません。
教えてくれない会社はお客様が満足していない可能性があります。
③自分の計画でもきっちりシミュレーションをしてもらう
ひとの家の光熱費や感想を聞いても参考にはなりますが、
まだ安心はできません。
計画が固まったら、からなずそのプランのシミュレーションをしましょう。
この時代、シミュレーションができない会社という会社に
依頼することはリスクが高いです。
その会社は勘だけで計画をすすめているので、信頼できません。
建築は情緒的な感覚も大切ですが。
それは計算できるものです。
ましてや、太陽の動きは未来永劫かわることはないので、
シミュレーションと実際は大きな差異はありません。
かならず、自邸のシミュレーションをした上で、仕様を決めましょう。
まとめ
①建設地の必要性能を把握
②敷地を読み取る会社を選ぶ
③自邸のプランのシミュレーションを行う
この中で、信頼できる会社選ぶことが一番むずかしいですね。
誰でも見れるブログでお伝えできるのが限られますので、
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