耐震等級が現在さかんに取りざたされていますが、
日本ではそれ以前の問題があります。
そもそもまともに構造計算されていない
住宅が数多くあります。
今回はその問題について解説します。
中国エリアでの特定検査(工事途中の中間検査)の実施状況です。
広島県と島根県のみが中間検査を行い、その他地域は検査なしとなっています。
これは確認申請時に構造図面の添付が不要となります。
以前にも書きましたが、木造2階建ての住宅は4号建築と言われ、
小規模建築のため、確認申請をスムーズにすすめるため、
構造図はチェックしないことになっています。
これを勘違いして、勘と経験で耐力壁の設置をしている施工者がいます。
過去の記事はこちら
そもそも本当に構造図のチェックは不要なのでしょうか?
確認申請の意味とは、第三者が図面のチェックを行い、
設計者のミスを建てる前に防ぐこともあります。
木造戸建て住宅だからこそ、従事者が経験則で施工を行う場合があり、
第三者のチェックが必要なのではないでしょうか。
こういう議論がでると、必ず下記の話がでます。
「木造戸建ての確認申請が厳格化されるの審査が長期化し、
建築主の費用負担が増え、景気停滞を生む」
私は4号建築の撤廃を強く望んでいますが、
それと同様に新築着工数を経済指標から外すことを望みます。
そもそも法律で義務付けられている、
壁量計算を行い検査をするのには
4.5万円しかかかりません。
この費用で自分の家が
どんな耐震性かわからず、
建てるなんでありえません。
加えて耐震等級3まで
取得する費用は130万円ほどかかります。
これも本当に高いのでしょうか?
耐震性能を上げるメリットして、地震保険の割引があります。
現在家を建てるだけで、10%割引(新耐震割引)がありますが、
耐震等級3を取得すると、追加で40%割引を受けれます。
地震保険はどの保険会社でも同じ価格で地域によって保険料が違います。
最長5年かけると割安になるので、5年契約30年保険に入った場合の費用が下記です。
千葉・東京・神奈川・静岡はなんと126万円。
耐震等級3にしたほうが安くなるということになります。
広島では30年の保険割引メリットは36万円と
耐震等級3を取得しても、
金額面のメリットはありませんが、
あなたは壊れるかもしれない
家に住み続ける選択をしますか?
実際、地震が来たときの
被害を考えて選択をしてください。
最後に中国エリアの戸建着工数と長期優良住宅認定数を見てみます。
中間検査が不要な山口県、岡山県ですが、長期優良住宅の認定が40%超えと驚きの数字です。
これは地域工務店だけではなく、ハウスメーカーも含めた数字だからかもしれません。
広島は建売住宅が多いのが影響して、長期優良住宅の数が伸びていません。
こうして見ると中間検査不要の地域でもしっかりとした住宅を建てている会社はあると考えられます。
広島県島根県は中間検査が必須のため、かならず審査機関が構造図はチェックしていますが、
それ以外の地域で、中間検査を受けずに建てられた住宅が6500戸あります。
この住宅の内、何%がきっちり壁量計算を行い、ミスなく設計・施工されているのでしょうか?
人の善意を信じるだけで、世の中が回るなら法律は不要ではないでしょうか?
56年以降を一括りに「新耐震基準」として、保険契約をさせられている
保険会社に大変申し訳なく思います。
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