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欠陥住宅を防ぐ現場の検査

さて、いきなりですが、

質問です。

 

この鉄筋施工のいい悪いを

あなたはチェックできますか?

 

上記写真はプレゼントデザイン設計の

基礎配筋(鉄筋組)の様子です。

 

鉄筋はコンクリートを打つと

見えなくなりますが、

建物の基礎の骨です!

 

どうですか?

素人であるあなたが、

いくらYouTubeで勉強しても、

この鉄筋のどこをチェックすべきかは

わかならいですよね。

 

ご安心ください。

最後まで読んでいただければ、

解説動画をご覧いただけます。

 

でも、ちょっと待って下さい。

 

基礎配筋なんて、

本来、あなたがチェックすべきこと

なのでしょうか?

 

あなたが依頼するのは

家づくりのプロたちです。

 

高い費用をかけてつくる

家づくりですから、

しっかりと

検査されているはず!

 

と思いますよね。

実はそうでもないんです。悲

 

まずは家づくりの現場での

検査の現状をご紹介しましょう。

公的検査① 建築確認検査

日本で家を作るときには、

建築確認申請が基本、必要です。

建設しようとする建造物が、

建築基準法に照らして、

違法性がないかを

図面上で、チェックするものです。

 

現場では、図面どおりに

つくられているかを検査します。

 

しかし、ここに問題点二つあります。

 

1つ目は建築基準法はあくまでも、

最低限の耐震性を

定めている基準です。

 

建物配置なども確認しますが、

 

最近、必要性が訴えられている

耐震等級3や省エネ性能の

検査は行いません。

 

つまり、建築確認の

検査を受けても、

建物の性能が

担保されるわけでは

ありません。

 

もう一つの問題点は

中間検査

そもそもないという

衝撃的なエリアがあることです。

先ほども解説したとおり、

「建築基準法は最低限の耐震性」

定めており、

多くの場所では、中間検査といって、

上記の写真のような構造用金物の検査を行い、

耐震性の確認を行っています。

 

しかし、木造住宅は社会的影響が少ない

というとんでもない理由と、

建築確認申請の簡易化という

家の造り手の利便性の理由により、

中間検査がそもそもない地域があります。

ちなみに中国エリアにおいては

広島県と島根県でしか、

中間検査は行われていません!

 

これらのエリアでは、

完成検査しか行われません。

構造金物の写真提出を

求められる場合がありますが、

すべての金物写真を提出しません。

 

これらは

建築士が職責を果たす

という性善説によって、

動かされているシステムですが、

 

2005年に衝撃的な事件が起こります。

 

構造計算を委託されていた

設計事務所が

工事費を安価にするために

耐震偽装が行われました。

 

これにより、居住者は

住宅ローンと耐震改修の

二重の負担

を強いられることになりました。

 

この事件でさすがに、国も動きました。

 

瑕疵保険制度の樹立です。

 

次にご説明します。

 

公的検査② 瑕疵保険の検査

まず日本では、消費者を守るために

 

住宅の品質確保の促進等

に関わる法律

という俗にいう品確法という法律があります。

 

この法律では、

家を建てたもしくは販売した会社は

構造の重要な部分と雨漏りに関することに

10年間保証するように

義務付けられていますが、

先ほどの耐震偽装により、

マンション販売会社が倒産してしまい、

住宅ローンと耐震補強費と

二重の負担を居住者が負うことに

なりました。

 

建築士の業務違反は

性善説でなりたっていた

建築業界を大きく揺るがし、

 

消費者を守るため

瑕疵保険がスタートしました。

瑕疵重大なミスという意味です。

 

この瑕疵保険はあくまでも、

施工会社、販売会社が入る保険で、

もし、雨漏りや構造的な不具合が

発生した場合、保険金が支払われます。

また、施工会社、販売会社が倒産した場合も

建物の問題が起きても、

保険金が支払われます。

 

もちろん無条件ではなく、

瑕疵保険の検査を受けて

合格する必要があります。

 

この検査は、

・基礎配筋

・構造完了後

の2回行われます。

 

第三者が検査してくれるのは安心ですが、

結局、2回しか検査されません。

 

また、建築確認検査同様に、

あくまでも最低限の耐震性を

検査するものであって、

性能検査ではありません。

 

車で例えるなら、

エンジンが

爆発しない検査であって、

燃費や耐久性を

検査するものでないのです。

 

そもそも車は2回程度の検査で

出荷することはないと思いますが、、、

 

でも、ご安心ください。

住宅も性能を検査する制度もあります。

 

公的検査③ 建設性能評価検査

日本の行政も低性能な家づくりを

推奨しているわけではありません。

 

できるだけ、高品質な家づくりを

推進したいと考えています。

 

その推進するための制度の一つが、

性能評価という制度です。

 

これにより、耐震等級3や、

断熱等級4、

一次エネルギー等級5、

耐久性、維持管理などの

建物の性能を評価する

ことができます。

 

よく言われる、地震保険の割引や、

フラット35sの基準にもなっています。

 

しかし、この性能評価には

二つの問題があります。

 

1つ目は、

設計性能評価と

建設性能評価に分かれていること。

 

つまり、設計図書の審査と、

現場の検査の両方が

必須ではないのです。

 

また、先ほどの地震保険の割引は

設計性能評価書だけで、

受けることができるので、

建設性能評価を受ける人が少なくなります。

 

2つ目の問題点は現場での検査です。

建設性能評価というくらいだから、

検査員はサーモカメラを持ってきて、

上記のような断熱欠損の

調査をしてくれるものと

あなたは考えますよね?

 

残念ながら、

検査員はサーモカメラなど、

持ってきません

 

では、何を検査するのか?

 

図面通りの

断熱材が入っているかを

現場で確認するだけです。

 

構造的な検査は釘のピッチ・金物の種類など、

防水の検査は重ねや打診検査と

一般的な目視での検査は可能ですが、

 

断熱や気密性能については、

専用の検査機器が必要になります。

 

しかし、気密性能はそもそも

日本の省エネ基準には存在しないという

悲しい現実があります。

 

個人的には気密測定を義務化すれば、

一気に日本の建物の性能は上がると思いますが、

日本では断熱性能と設備による省エネ性能だけに

留まっています。

残念な話です。

 

ということで、

日本の公的検査では、

性能を担保できないという

悲しい現実があります。

 

だからこそ、現在あなたが

懸命に勉強しているように、

 

どこで建てるか?

 

これが大事になります。

 

つまり公的検査が担保できない

高断熱高気密住宅を

しっかりとした社内検査で、

施工してくれる施工会社に

依頼できるかどうかが

大切になります。

施工会社による社内検査

信頼をおける

施工会社に依頼する。

とてもシンプルでわかりやすいですね。

 

しかし、会社の規模などによって、

社内検査体制は異なります。

一つづつ見ていきましょう。

 

まずは大きな会社。

ハウスメーカーなどがこれにあたります。

各部門が確立されており、

設計部門が工事の検査を行います。

 

また、大手では工事を外注する場合もあり、

設計と工事が別会社であることで、

発注者と下請け会社との関係が明確になり、

忖度なく

検査されるのがメリ

になります。

 

ハウスメーカーはやはり、

品質を担保できるように

組織化されていると言えます。

 

では工務店などの会社はどうか見ていきます。

つづいて比較的小さな工務店の組織図です。

たくさんの社員はいませんので、

経営者自ら、設計や接客を行って、

現場監督は社員というパターンです。

 

建築士をもっているのは

この場合は経営者ですので、

監理者として、

現場の検査に行きます。

 

経営者と社員という

関係もあるので、

厳しく検査され、

監理機能も効きやすいです。

 

問題なのは逆パターン

経営者が工事担当で、

設計者が社員の場合は、

適切な検査は行われない可能性があります。

 

社員が社長の仕事

検査するわけですから。。

 

間違ったことをしていても、

かなり言いにくいです。

 

これは社長でなくても、

設計と工事が

先輩か後輩かという場合でも、

検査品質は変わる可能性があります。

 

もちろん、上下関係が逆であっても、

忖度なく検査が行われている

会社もあるはずです。

そう言われる会社であれば、

検査書類などを見せてもらい

どんな検査が行われるか確認しましょう。

 

最後に本当に小さな会社の場合です。

社長が全部の仕事を行い、

奥さんが経理をやっている場合ですね。

 

この場合は、

一人で設計して、施工しているので、

自主検査しかできません。

 

この社長が自分に厳しく、

ミスも許さない素晴らしい人格者であれば、

良い家ができますが、

反対の場合は悲惨なことになります。

 

また、一人で仕事している場合は、

世界が狭くなりがちですので。(経験談)

勉強会などに積極的に参加せず、

横のつながりがない社長は、

10年以上前の知識を、

あたかも最新技術かのように話をし

時代遅れの家になってしまう

可能性もあります。

 

もちろん、一人ではありながら、

仲間を作り、新しい知識を身に着け、

すばらしい家づくりをされている、

小さな工務店もありますので、

しっかりとした目で見極めましょう。

 

もし、あなたがちゃんとした

検査がおこなわれる工務店かどうかを

見極めるのが自信がないというなら、

検査のみを行うサービスもあります。

 

インスペクターによる工程検査

インスペクションとは、

建物の状況を検査するものです。

 

中古住宅の売買の際には、

インスペクションをしたかどうかの

説明を買い主にする必要があり、

最近では知られるようになりました。

 

私もこのインスペクション業務を

行っていますが、

時々、新築住宅の工程検査

の依頼があります。

 

先ほどご紹介したように、

ご自身が選んだ建設会社が、

ちゃんと施工をしてくれるか

不安になり、

第三者の検査を受けたいと

考えられるわけです。

 

しかしながら、

施工会社には嫌がられます。

 

まあ、

あなたの会社は信用できない

と言われたと思ってしまうんですよね。

 

実際はそうでもありません。

悪いものは悪いと言って、

是正を求めますが、

 

良い施工は良いと

評価します。

 

最初の方は訝しがっていた施工会社も、

最後には

検査してもらってよかった!

と言ってもらうことが多いです。

 

このようにして考えれば、

第三者のインスペクターによる

工程検査は

おすすめではあるのですが、

課題がないわけではありません。

 

まずは費用です。

建物が完成するまでに、

6回〜8回現場に行って検査を行い、

報告書を作成するわけですから、

40万円〜60万円ほどの費用

がかかります。

 

このお金があれば、キッチンのグレードを

上げたいと思う方も多いかもしれませんね。

 

もう一つは、

そのインスペクターの

知識レベルです。

 

プレゼントデザインのブログを

読まれているあなたは、

 

どこの工務店に頼んでも、

ある一定の品質の家が

できるというのは幻想である

ことはすでにご理解していると思います。

 

一口に工務店といっても、

スーパー工務店から、

全く高断熱高気密の技術を知らない、

工務店がいるのと同じように、

 

全く高断熱高気密住宅が

わからないインスペクター

もいます。

 

私が断熱の工程検査に行く際には

サーモカメラを持っていきますが、

すべてのインスペクターが

サーモカメラをもっているわけではありません。

 

もっといえば、極少数です。

 

工程検査を依頼する場合は、

検査するインスペクターの

知識レベルの確認が必要です。

 

あーーなんか、

なにがいいかわからない!!

っていう人にオススメの方法を

次に解説します。

設計事務所による監理

はい、すみません。笑

私の仕事でもある、

設計事務所による家づくりです。

 

設計事務所は図面を書く仕事だけではなく、

建築の素人であるお客様の代わりに、

図面通りに工事されているかを

現場を検査する

監理業務も大切な仕事です。

 

設計事務所に依頼すると

高くなると思われている方も多いですが、

それは誤解です。

 

この誤解を解説したブログはこちら

 

現場の検査がしっかり行わるか

不安という方で、

インスペクションで

お金を払うのであれば、

最初から設計事務所と家づく

 

をしたほうが、よっぽど

シンプルでわかりやすいです。

 

もちろん、設計事務所も

先ほど解説したとおり、

得意不得意はありますので、

 

あなたが大切にしている

家づくりの夢を

叶えてくれる

設計事務所を選びましょう。

 

デザイン重視で性能は

どうでもいいという人は

私に依頼しないでください。笑

 

まあ、依頼されても、

お断りしますが。。。

 

家づくりの検査のまとめ

いろいろと解説してきましたが、

最後にまとめてみましょう。

① 公的検査は耐震性の最低限を検査するだけである

② 性能評価の検査でも気密測定や断熱欠損の検査はしない

③ 施工会社の社内検査や組織によって左右されるので、

事前に確認が必要

④ 建築士による第三者の工程検査も一つの選択

※その建築士の知識レベルの確認は必要

⑤ 設計事務所との家づくりは現場検査も行われる

 

ということになります。

それでは冒頭で書いていたとおり、

基礎配筋(鉄筋)の検査のチェックポイント動画を

ご案内します。

 

 

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長い記事になりましたが、

最後まで読んでいただき、

ありがとうございました!