「エコハウスを普及させたい!」
と思い、8年前に独立を決意しました。
その頃は、
「広島みたいな温暖地にはそんな断熱材はいらん!」
と言われる工務店や設計事務所が数多くありました。
(今でもいっぱいいますが、、)
時代は代わり、最近では高気密高断熱が家づくりの大きな流れに
なっています。
しかし、この高気密高断熱住宅のブームの中、
私は違和感を感じています。
それは構造を考慮していない建物が多いことです。
長持ちする建物をつくる基本は構造、
つまり耐震性です。
耐震性がないお金をかけた高気密高断熱住宅の断熱材や窓は
地震がくれば、ただのゴミになってしまいます。
上の写真は熊本地震後にレモンの家の会の仲間で
益城町に視察に行った際の写真です。
その当時のニュース映像がYouTubeで見れます。
よろしければ、見てみてください。
日本ではいつどこで地震が起きてもおかしくありません。
ぜひ、高気密高断熱住宅だけではなく、
建物を長く安心して住むための方法も
考えてください。
今回はさまざまな建物を調査してきた
一級建築士の川端が日本で安心して住むための
構造について解説します。
Contents
長持ちする家 構造解説① 耐震等級3がおすすめ
地震に強い住宅がどんなものかを知るために
わかりやすい基準があります。
それは耐震等級
上記のように耐震等級は3段階あり、
耐震等級3は通常の住宅の1.5倍の耐震性能があります。
警察署や消防署がこの基準で作られていますが、
これらは税金で作られるものです。
個人の資産である住宅は
自分たちでその住宅を守らないといけません。
しかし、住宅の耐震性能を上げることを
当たり前にしていない会社も数多くあります。
彼らの言い分は
お金がかかるからです。
実は住宅に建築するにあたって、
構造計算をしていません。
これは住宅業者が構造計算を行う技術がないため、
構造計算をすると外注となり、
お客様の負担費用が増えるという考えで、
長年、構造計算ではなく、1時間程度でできる
簡易な検討のみで家が作られてきました。
これにより、また、構造的に不利になる地域が生まれています。
長持ちする家 構造解説② 中間検査がないエリアは要注意
上記の表は平性26年の中国エリアでの木造住宅の構造検討を行ったかどうかを
まとめたものです。
中国エリアの木造住宅において、島根・広島以外は
中間検査が実施されていません。
中間検査では簡易な構造検討を行った図面に基づいて
現場で第三者の検査が行われます。
つまり、耐力壁や構造金物が図面どおりに施工されているかを
確認するのが中間検査ですが、
その検討が行われていないのです。
長期優良住宅はかならず構造計算を行うので、
認定を取っていない住宅は第三者のチェックを
一切受けていないことになります。
その数、年間で6500件です。
また、これに伴い、
建築確認申請に構造検討図面を
添付しないでよいことになっています。
これを勘違いした実務者は
構造検討をしなくてもよいのだと
経験と勘の大工さん任せで家がつくられています。
最近では瑕疵保険の検査が普及したので、
中間検査がないエリアでも、
第三者の構造チェックが入るようになりましたが、
瑕疵保険ではなく、供託金を預ける
大手建売会社などは、第三者のチェックが
入らないことがあるの注意が必要です。
こういった地域ごとの格差は中間検査だけではありません。
次は地域地震係数について解説します。
長持ちする家 構造解説③ 地域地震係数の謎
地域地震係数は簡単に解説すると
この地域は地震が来る可能性が低いから、
耐力壁を他の場所より、1割少なくしたいいよ
私が住む広島は0.9で、
4年前の震災があった
益城町も0.9でした。
(ちなみに熊本市は2階建ての木造住宅の中間検査はなし)
このことから、この地域地震係数は
まったくあてにならないことがわかります。
プレゼントデザインでは、
かならず地域地震係数を減算せず、
1.0のまま計算をおこなっていますが、
あなたが耐震等級3を希望していても、
この地域地震係数がかかっていると、
耐震等級3は
1.5×0.9=1.35倍
耐震等級2は
1.25×0.9=1.12倍
と、本来目指している耐震性能ではない
住宅になる可能性が高いので、
かならず、地域地震係数の数字を
いくらで計算しているか確認しましょう。
長持ちする家 構造解説④ 構造計算にお金はかかるのか?
あなたが車を買うとします。
当然その車のエンジンは計算しつくされて、
安全に走れるようになっています。
そしてそのエンジンの構造計算費は
車体価格に含まれています。
一方住宅ではこの構造計算が、
多くの会社の場合、
オプション費用がかかります。
おかしいと思いませんか?
耐震等級1,2,3を選ぶのは
お客様の自由だとして、
構造計算がオプションであることに違和感がありますよね。
しかし、残念ながら、
前述通り、日本では簡易な構造検討で、
住宅は建てて良いことになっていますので、
簡易な構造検討が標準で、
ちゃんとした構造計算はオプションとなっています。
プレゼントデザイン代表の川端は構造力学出身のため、
木造3階建てまでであれば、自社で構造設計を行うため、
耐震等級3の設計は標準としています。
構造力学出身の建築士はそんなに数が多くないこともあり、
多くの工務店では専門の設計事務所に外注をだすため、
安くない金額が必要となります。
耐震等級3など、長持ちする家を希望される場合、
その構造計算費用を事前にしっかりと把握しましょう。
長持ちする家 構造解説⑤ 設計性能評価で、地震保険を半分に
耐震等級3にするためにせっかく構造計算費用を
支払ったなら、設計性能評価書を取得することを
オススメいたします。
耐震等級3のメリットは地震保険が半分になることです。
耐震等級3になるとそもそも壊れないのだから、
地震保険が不要では??
と思われるかもしれません。
確かにその側面はあるのですが、
問題点は地盤です。
北海道や千葉の地震で、
地面が液状化した映像を見られた事があるかと思います。
耐震等級はこの液状化に対しては無力です。
また、さまざまな地盤改良がありますが、
住宅で行われる地盤改良は液状化には対抗できません。
そのため、液状化リスクが0ではない場合は
地震保険の加入を推奨します。
地震保険と設計性能評価の費用については
過去のブログにまとめていますので、
ご興味のある方は読んでみてください。
まとめ
最後に長持ちするための構造のまとめです。
1.耐震等級3がオススメ
2.中間検査がないエリアの方は要注意
3.地域地震係数は1.0で計算してもらいましょう
4.設計費は会社によって様々、事前に確認しましょう
5.せっかくなら設計性能評価を取得して、地震保険を安くしましょう
この耐震性能については
日本の住宅業界が一番送れている部分です。
冒頭でも書きましたが、
高断熱住宅でも地震で破壊されれば、
ただのゴミになります。
車のエンジン同様、
壊れない技術の次にしか、
エネルギー効率は語れませんので、
視野を広く家づくりを考えてください。
このような裏話など、
メルマガで書いていますので、
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