背高のっぽ建築士の川端です。
先日、メルマガ読者の方から
ご質問をいただき、久しぶりに
動画で解説しました。
この動画はG3の床下エアコンを採用した場合の
温熱シミュレーションの解説したものでしたが、
新たにご質問をいただきました。笑
ありがたい話です。
それは外断熱の場合の
防蟻処置についてです。
本当に勉強熱心なお客様が増えましたね。
高性能住宅にすることのメリットが
冷暖房機器が少なくすむことです。
つまり、
壊れない断熱材や窓にお金をかければ、
壊れる冷暖房機器にお金をかけずにすむ
ことです。
その中で暖房の暖かい空気が
上に上がるという習性を利用した
床下エアコン(暖房)を採用している
会社が増えてきました。
上記写真のように
エアコンが見えていません。
床下に暖房した空気を送ることで、
直接身体に風があたらないことで、
人気がある手法です。
しかし、床下に暖房した空気を送るので、
もちろん、基礎断熱になります。
基礎断熱とシロアリの影響に関しては、
切っても切れない内容ですので、
そのリスクと対処法について解説します。
シロアリは全国どこでも出る
せっかくこだわり、
お金をかけたマイホームが
シロアリの被害を受けた!!
となれば悔やんでも悔やみきれません。
写真 出典 一般社団法人 関西・北陸しろあり対策協会
上記はシロアリの分布図ですが、
ほぼ全国どこでもシロアリがでても
おかしくありません。
どれだけ、高性能な省エネ住宅であっても、
耐震等級3の家であっても、
シロアリの被害を受ければ、
性能を担保できなくなります。
家づくりにおいて、
シロアリ対策は必ず
考えないといけません。
基礎内断熱
上記は基礎部分の断面イメージですが、
一般的に住宅の基礎において、
シロアリの弱点となる場所があります。
それが
基礎のコールドジョイントです。
基礎を作る際に、
一般的にはベース(床部分)と
立上りと2回に分けて、
コンクリートを打設するのが一般的です。
この立上りと土間の部分を
コールドジョイントと呼びますが、
そこに軽微な隙間が発生することがあり、
そこからシロアリが侵入するケースがあります。
プレゼントデザインでは
床下エアコンを採用する際は、
標準的には基礎内断熱にしています。
理由としては、
内断熱の場合は外部からの
点検が可能だからです。
シロアリは光や風を嫌うため、
外部では蟻道というトンネルをつくって
侵入します。
基礎外断熱を採用する場合、
この蟻道が見えなくなるので、
どうしてもリスクが発生します。
基礎外断熱のリスク
上記のイメージ図のように、
シロアリは断熱材を食べませんが、
そこに道をつくる習性があります。
基礎外断熱の場合、
断熱材と土が直に接触しますので、
シロアリが人間の目で見えない
ルートから侵入する可能性があります。
このため、基礎外断熱はリスクがると
言われています。
ですがもちろん、
リスク回避のための対策もあります。
① 防蟻処理された断熱材の採用
これは必須になります。
現在はいくつかの防蟻断熱材が販売されていますが、
火災に弱かったりという、リスクも含めて、
選択する必要があります。
②基礎コンクリートの一体打設
基礎の弱点である、コールドジョイントをなくすため
一体で施工する方法です。
内側の型枠を浮かせて、施工する必要があります。
現在、住宅の基礎はだいたいが同じ形状のため、
鋼製型枠という汎用性があるもので、
作られますが、
一体基礎を作る場合、
鉄筋コンクリート造で使われる
木製パネルの型枠材を使う必要があり、
技術とノウハウが必要になります。
③断熱材小口の物理的処置
万が一、断熱材にシロアリが入ったとしても、
構造材である木材にたどり着かなければ、
構造的な被害は受けません。
断熱材の小口部分に鉄板や銅板を
設置して、シロアリの侵入を防ぎます。
そのようにして施工を行えば、
かなりシロアリの侵入リスクを減らした
基礎外断熱となります。
プレゼントデザインでは
この3つが可能な場合、
基礎外断熱を採用することにしています。
その条件は施工者の技術と知識になります。
ここまでしても、
断熱材にシロアリが入るリスクは0にはなりません。
そこも含めて、施工者と施主が理解を示さないと、
採用はできません。
ですが、シロアリリスクを0にすることが
できないのは基礎外断熱だけではありません。
基礎貫通部は注意
これは6年前に設計した本浦の家の
施工状況です。
住宅に限らず、建物はこうした
水道や排水などの配管が基礎を貫通します。
配管材とコンクリートも
いわばコールドジョイントのようなものですので、
こうした配管部分も物理的に
シロアリの侵入を防止する処置が必要です。
6年前はそのようば部材がなく、
気密用のアクリル材で処置しましたが、
現在はいろんな防蟻処置材がありますので、
施工を確認しましょう。
基礎内断熱を採用していますが、
どんな断熱をつかっても、
こんな大変だったら、
床断熱のほうがいいのではと
思わるかもしれませんね。
ですが、床断熱も基礎断熱同様に、
シロアリのリスクは0ではありません。
床断熱の場合も、点検が必要
上記は一般的な床断熱の場合の
床下の様子です。
最近はベタ基礎が多いので、
地面からのシロアリの侵入リスクは低いですが、
玄関ポーチや花壇などで、
基礎コンクリートより、
外部が高い場合には見えないところで、
床下の場合でも
シロアリが入ってくる可能性があります。
結局はリスクがあるのです。
残念。。。
有効な対策。
それは点検を行うことです。
車でも車検があるように、
家も定期的に点検しないといけないのです。
特に梅雨時期はシロアリの季節ですので、
梅雨明け後は床下や家の基礎周りのチェックをしましょう。
そのために
床下にも人通口という点検の場所があります。
が。。
人通口に配管がされているケースがあります。
施工上、どうしようもない場合もあるのですが、
できるだけ、点検がしやすいように
配管と人が通るルートは分けることが望ましいです。
結局どれが一番よいのか??
いろいろと書いてきましたが、
なにを選べばよいのかわからなくなりましたよね。
まとめますね。
シロアリはどの工法でもリスクがある
これが大前提です。
だからこそ、
定期的に点検が行えるようにすることが
シロアリのリスクヘッジになります。
この点検のしやすさの順番は以下です。
① 床断熱(基礎の外も中も点検可能)
② 基礎内断熱 (基礎の外が点検可能)
③ 基礎外断熱(シロアリの侵入経路はわからない)
となります。
もともとの床下エアコンの考え方は
暖かい空気を床下に送り、
「基礎に蓄熱させながら」
家を暖房することですが、
かなりの高性能住宅であれば、
普通にエアコンを取り付けても、
十分暖かくなります。
よってシロアリリスクを
最大限警戒するのであれば、
床断熱を採用することも
正しい選択であると考えます。
ただ、気密的な視点では、
床断熱は気密処理を行うことは
高い技術が必要です。
上記は上棟時の写真ですが、
床にはたくさんの柱が刺さっています。
これらを1本づつ、丁寧に気密処理をしないと
床の気密がとれず、
冬に足元が寒い!!
ということになります。
ここからは個人的な見解ですが、
基礎内断熱⇒無難な方法。
床断熱⇒高度な施工技術が必要
基礎外断熱⇒高度な施工技術と住まい手の理解が必要
となります。
ほとんどの施工者は何も考えず、
床断熱を採用していますが、
まともな床断熱工法は
インスペクションで見る
住宅では見たことはありません。
ということで、
しっかりと施工者と話し合って、
どの工法にするか考えましょう。
最後になりますが、
床下エアコンが万能な暖房方法といううような
取り扱いがされていることがあります。
しかし、
それはかなり偏った考えた方です。
過去のブログで、
床下エアコンのリスクをまとめていますので、
これを読んでから、
床下エアコンにするか判断してください。
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