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阪神淡路大震災から25年 耐震性を向上させるメリットとは。

阪神淡路大震災から25年を迎えました。

私は当時、大学3回生で、大阪の実家で朝の4時まで設計課題をしていて、

眠りについた直後大きな揺れにより目が冷め、

必死に本棚を支えている父の姿が今でも記憶に残っています。

そして、私は一年後上記写真の神戸市長田区の会社に入り、建築人生がスタートしました。

6000人を超える死者がでた震災から25年、私達は生きたくても生きられなかった人たちの代わりに

精一杯考え、生きるべきだと思います。

25年前の震災を教訓にどんな家づくり・まちづくりをすればよいのか考えていく一日考えたいと思います。

震災はいつ、どこでも起きる

上記は日本での大地震の年表です。

江戸以前は地震が少ないようにも思えますが、

今のように情報が整理・管理されていないことが推察できますので、

定期的な大きな地震は島国日本の避けられない現実であると考えます。

備えることは重要です。

日本伝統建築の限界

日本の伝統建築は地震に強いというイメージをお持ちの方がいますが、

決してそれはただしくありません。

昔ながらの束石の上に柱を建てる構造の場合、地震時に「滑る」ことにより

倒壊を免れるとの話もありますが、

上記は熊本の震災後の神社です。多少の「滑り」であれば倒壊しないかもしれませんが、

ずれた衝撃により、屋根荷重をささえきれないことがあります。

また、地震で大きな被害がでない神社仏閣の伝統建築がありますが、

それはもともと、堅牢な地盤の上にその神社仏閣があることが安全性を担保していると

考えることが、素直であると考えます。

安定した地盤の上に家を建てることが望ましいですが、

広島のデルタエリアなどの軟弱地盤で街が形成されていることもあります。

まずは地盤の特性を見る

現在は地盤に関して、専門的に解析をしてくれる地盤塾という組織があり、

地盤の特性や、判断の難しい地盤調査データの解析をしてくれます。

目に見えない地面の中こそ、専門家による判断を仰ぐことも重要です。

地盤の良し悪しは「豆腐と羊羹」に例えられます。

もちろん、豆腐のほうが弱い地盤。

この柔らかい豆腐の上に家を建てる場合は下の硬い皿まで支え(地盤改良)が必要なのは一目瞭然です。

木構造の耐震性

伝統建築を否定することを先程書きましたが、

伝統建築の大断面の場合、そこでの摩擦力による抵抗や、

スカイツリーの設計に、五重塔の心柱の考えが活用されたことも有名です。

ただ、住宅の場合コストバランスも考えないといけません。

一般的な手法・材料で耐震性を向上させることが重要です。

私は住宅の耐震性に関して、ダンボールで説明します。

ダンボール同様、筋交いなどで壁はしっかりしていても、

蓋が開いているとダンボールを横から力を加えると、ひし形に変形します。

それが地震の横揺れによる破壊です。

そのように壊れないように蓋をしっかりしめることにより、地震に対抗できるようになります。

日本の住宅の耐震性能

2020年は省エネの義務化が見送られ、気候変動が危惧されるなか、

日本ではどれだけエネルギーをたくさん使う住宅でもつくることができるという悲しい話があります。

それに加え、以前から問題視されているのは住宅の4号建築です。

住宅の設計の際、構造を経験と勘だけで設計している実務者が日本には数多くいます。

そのあたりの記事を詳しく書いていますので、下記をご参照ください。

耐震性能のウソ

また、最近は設計性能評価や長期優良住宅の認定を取得される方が増えています。

耐震性能を上げることの最大のメリットは大きな地震の後も最小の被害で生活を再スタートできることですが、

いつ来るかわからない地震にどこまで投資するかは、新築時に悩まれることも多いかと思います。

上記は山口県での物件の設計性能評価の申請費用と地震保険の30年間の減額費用の差です。

長期優良住宅を取得したとしても、23万円ほどの費用負担、地震保険は30年で52万円の減額になります。

これを考えれば、耐震等級をきちんと評価するメリットも大きいかと考えます。

※これは耐震等級3を標準としての考えです。会社によっては耐震等級3にするための構造の追加費用がかかることがあります。

災害の強いまちへ

建物が倒壊することは避難や救助をすための道路を塞ぐ事も考えられます。

現実に大阪での地震により、ブロックが倒壊し、幼い子どもの命が奪われました。

この塞がった道の向こうに友人や家族がいるかもしれません。

築年数が古い住宅にお住まいの方でも、ぜひ、今日の日の意味を今一度考え、

外構のブロックの状況の確認、住宅全体の耐震改修が難しければ、せめて1階だけでも壊れないように、

近くの設計事務所・工務店に一度、ご相談されてはいかがでしょうか?

それがあなたの大切な人を守ることにつながります。