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太陽光発電の屋根貸し(PPA事業)を、一級建築士FPが徹底比較!

2022年6月現在、

さまざまな物の値段が上がっています。

食料品、生活雑貨、ガソリンなどの

日々の生活に必要なものから、

もちろん、私達が提供する

住宅の建材まで、値段が上がってきています。

 

とはいえ、収入がそんなに上がらないのも

現実です。

 

このような状況で、

家の建設費を落とすという

選択をされる方もいらっしゃいますが、

それはあまり良い選択とは言えません。

 

上記は電力先物価格の推移です。

ウクライナ情勢により、

日本はやはりエネルギー資源が

乏しい国だということが明らかになりました。

 

プレゼントデザインでは度々、

ご紹介していますが、

住宅ローンも住宅に関する費用ですが、

光熱費ももちろん、

住宅に関する費用です。

 

加えていうと、

住宅ローンの支払は

いつか終わりが来ますが、

光熱費は一生涯払い続けるものです。

 

さまざまな物の値段が上がってきているからこそ、

光熱費をどのように抑えるのかが

重要になってきました。

 

プレゼントデザインでは

今までは、

まずは壊れない断熱や気密、

そして、外壁や屋根の耐久性を

上げることが大事とお話してきました。

 

それらを十分に行った結果、

予算に余裕があれば、

太陽光発電を設置しましょう。

 

とお話してきましたが、

現在の状況を考えると、

そんな悠長なことを言っている場合では

なくなってきました。

 

あなたの大事な家計を守るために、

太陽光発電の設置を真剣に考える時期といえます。

 

東京都の太陽光発電の義務化に

賛否両論が寄せられているようですが、

決して、太陽光発電はエコな社会実現のためだけではなく、

あなた自身に密接な関係であることを

忘れないでください。

 

とはいえ、先にも上げた通り、

建設費も高騰しているなか、

無理な住宅ローンを組みたくないというのが

現実だと思います。

 

今回は太陽光発電を無償で設置できるサービス

屋根貸し(PPA)について

解説したいと思います。

 

屋根貸し(PPA)による太陽光発電設置とは?

出典 電波新聞より

 

上記は横浜での東京ガスグループの取組みですが、

もともと屋根貸し(PPA)は学校などの

屋上に事業者が太陽光発電を設置するというスキームから

はじまりました。

 

大体の学校は屋根がフラットですので、

太陽光発電が設置しやすいのですね。

 

また、マンションなどの高層になってくると、

風災のことも考えられ、

あまりたくさんの太陽光発電を設置できないという

現実もあります。

 

その点、学校は3階建てくらいまでが多いので、

太陽光発電の設置としては、

条件が良いと言えます。

 

加えて、学校に太陽光発電があると、

防災上もメリットがあると言えます。

 

こうしたビジネスの延長で、

住宅にも屋根貸し(PPA)が始まりました。

 

住宅の屋根貸し(PPA)はメリット・デメリットがある

よく聞く話。

「ただほど、高いものはない」

ですよね。

 

先程、紹介した学校の屋根貸しも

もちろん、PPA事業者はビジネスでやっています。

 

住宅の場合も同じで、

PPA事業者に、

もちろん利益がでます。

 

太陽光発電もあなた自身のお金でつけるのが

一番メリットが大きいです。

 

今回はそれがかなわない場合の解説です。

 

 

屋根貸し(PPA)ビジネスについて解説します。

 

売電と自家消費(出典 SMART SOLAR)

 

太陽光発電はもちろん、

昼間に発電します。

 

日中、誰も家にいなくても、

冷蔵庫や家電など電気を使用しています。

 

これを太陽光発電の自家消費分といいます。

そして、自家消費分を差し引いた、

太陽光発電の発電量を余剰電力といい、

電力会社に販売したり、

蓄電池があれば、充電し、

夜に使うことになります。

 

この余剰電力と自家消費分から、

利益を生みだし、

投資した太陽光発電の費用を
(あなたが無料で設置してもらった)

その利益で回収するのがビジネススタイルです。

 

回収期間は10年としているケースが多く、

11年目はあなた自身の太陽光発電となり、

自分で太陽光発電を設置したと変わらない

メリットを享受できます。

 

次に具体的なPPA事業について見ていきます。

 

屋根貸し(PPA)の太陽光発電 LIXILと長州産業の比較

PPA(屋根貸し太陽光発電)にはさまざまな

企業が展開していますが、

現在、プレゼントデザインが検討している

2つのPPAについて、

比較してみます。

 

一つはLIXIL。

住宅の総合メーカーで有名な会社です。

 

もう一社は長州産業

山口県の長州産業。

太陽光発電パネルの国産会社です。

 

それぞれ特徴があるので、

見ていきましょう。

太陽光発電の容量

PPA事業者は発電した電気料金で、

投資分を回収するので、

あまりに小さな太陽光発電であれば、

回収に時間がかかりすぎるので、

最低の容量を定めています。

 

LIXILは8kW以上、

長州産業は13年契約であれば、3kW〜5kW

10年契約であれば、5kW〜10kWとなっています。

 

太陽光発電の容量は

当然ですが、

屋根の面積が重要です、

 

もちろん、北や東西など、

発電効率が悪い屋根面はNGです。

 

つまり、LIXILの場合、

8kWの太陽光発電が乗るように

屋根を作る必要があります。

 

太陽光発電から、

プランを考えなければならないのは、

設計者としては、

少し面白くありませんが、

 

デザインなんて気にせず、

たくさん太陽光発電を乗せたいという人は、

LIXILで問題なさそうです。

 

ちなみに長州産業でも

5kW未満の場合は、

13年の契約になります。

 

つまり、自分の太陽光発電になるのは、

13年後。

 

長州産業の場合、

5kW以上乗せるほうが、

メリットがあると言えます。

 

契約する電力会社は選べるのか?

現在は電力自由化の時代で、

電気をどこから買うかは

選ぶことができます。

 

しかし、LIXILのPPAを導入した場合は、

LIXIL TEPCOから電力を購入する必要があります。

 

できるだけグリーン電力を使いたい、

携帯電話が安くなるので、

この電力会社にしたい!

 

などはできなくなるので、

注意が必要です。

 

ただし、長州産業も

指定の電力会社であれば、

電気単価が安くなるなどの

インセンティブがあるので、

これに関しては評価は変わらない印象です。

 

建材と設備機器の指定

LIXILは先程も書きましたが、

住宅建材を製造、販売する企業です。

 

そのため、家をつくる際に様々な

指定があります。

 

温熱設計をする立場からすると、

窓と玄関ドアがLIXILと固定されるのは

かなりの違和感があります。(苦笑)

 

これが私がLIXILのPPAを使いづらい

最大の理由ですね。

 

もちろん、あなたが相談する工務店によっては

LIXILが得意という会社もあるはずです。

 

玄関ドアなどにこだわりがないという人は、

LIXILのPPAのほうがメリットがあるかもしれません。

 

私は木製玄関ドアにこだわっています。笑

 

自家消費分の取り扱い

ここが長州産業とLIXILの

最大の違いです。

 

LIXILの場合、余剰電力の売電利益のみ

手放せばよく、

自家消費分に関しては、

そのまま、あなたの支払う電気代が安くなります。

 

しかし、長州産業は

窓や玄関ドアなどを販売していないため、

自家消費分をサービス使用量として、

あなたが支払う必要があります。

 

2022年11月までは29円/kW。

それ以降は30円/kWになるそうです。

 

これをどう考えるのかは

かなり難しいです。

 

大雑把な損得を考えると、

日中に家にいることが多い場合、

自家消費分が増えます。

すなわち、余剰電力分が少なくなるので、

LIXILが損をする=あなたが得をする

 

ということになります。

 

共働きで日中、誰もいないのであれば、

自家消費分は減り、余剰電力が増えることになるので、

この長州産業のデメリットは少なくなると言えます。

 

まとめとしては、

住宅設備、窓、玄関ドアにこだわりない方は

LIXILのPPA

 

デザインにも製品にもこだわりたい方は

長州産業のPPA

という選択になります。

 

長州産業の29円/kWという

サービス料も、

現在の電気価格に比べれば、

かなり安く、

これが10年間固定されることを考えれば、

太陽光発電を設置しないという

選択をするならば、

圧倒的にメリットがあると言えます。

 

壊れないものからお金をかける。

しつこいようですが、

最後にもう一度。

 

壊れないものから

お金をかける

 

これは必須だと考えてください。

太陽光発電も壊れる設備です。

 

一方、断熱材や窓は

災害などに合わない限り、

急に壊れることはありません。

 

性能の悪い家を選択すると、

たくさんの太陽光発電をつけないと、

ゼロ・エネルギー住宅になりません。

 

たくさんの太陽光発電をただでつけたとしても、

次にパネルを交換する際に、

また、大きなお金がかかります。

 

家づくりの順番は以下です。

1.敷地をしっかり読み解き、

光がどこに入るのか、風がどう通るのかを見る

➡太陽という無償のエネルギーを味方につける

2.無償のエネルギーを上手に利用するため

断熱気密を高める

➡断熱気密は壊れない

3.断熱気密で消費エネルギーを小さくして、

その上で、高効率設備でさらにエネルギーを減らす

4.パッシブデザイン、断熱気密、高効率設備で

可能な限り小さくした消費エネルギーを

太陽光発電で相殺する。

 

また、窓から見える景色も

良い家をつくる上で、

重要なファクターです。

 

温熱以外の快適も忘れずに、

家づくりをしてください。