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新築と悩むリノベーション。インスペクター建築士が徹底解説!

2022年3月現在、

コロナ、ロシアのウクライナ侵攻、

さまざまな影響により、

物価が高騰しています。

 

ウクライナで紛争は

お金の話ではなく、本当に心が痛いところです。

 

ただ、支援するにしても、

私達はしっかりと生活をすることが

大事なことだと考えています。

経済もまわさないと、

支援も受け入れもできませんからね。

 

とはいえ、家づくりを考えている方にとって、

今の資材高騰は気になるところだと思います。

 

一方、視点をかえると、

中古住宅の情報が入ってきます。

上記は全国の空き家数の推移です。

2018年では8,489戸、13.6%の家が

余っています。

 

これって、結構大きな数字です。

10軒に1軒以上は空き家ということですからね。

目につくはずです。

 

なかなか土地が出ないと思っていた場所でも、

中古住宅であれば、

あ、ある!!

中古住宅をリノベーションをする!

というのもありかも。

となるかもしれません。

 

でも、中古住宅は新築住宅と違って、

心配!!ですよね。

 

そこで、一級建築士で、

延べ200軒の建物調査をしたインスペクターでもある

川端が、中古住宅を購入しての

リノベーションの注意点を徹底解説いたします。

中古住宅はインスペクションを行ってから契約すること。

2018年にある法律ができました。

中古住宅の売買時に、

インスペクションについて、

売主に対して説明することや、

インスペクション業者を紹介・斡旋できるかの告知が

義務化されました。

 

うーん、ややこしい。

もう少し簡単にお伝えすると、

・インスペクションをしたかどうかの説明

・インスペクション会社を紹介できるかどうかの告知

ということになります。

 

インスペクション、建物診断も

わかりにくいところがありますが、

 

車でいえば車検

(法律、物理的に走れるかどうかの国の検査)

があります。

 

この車検によって、

中古車を購入するときに、

 

買う側は、

何キロ走ったのか、

事故したことがあるのか、

ということがわかり、

安心して、その車を購入することができます。

 

しかし、中古住宅の場合は、

今までは、その買い主側の安心がなかったわけです。

 

購入したあとに、

この家雨漏りする!!

あれ??この家傾いている??

なんてことが、

実際起きても、

お金を払ったあとなので、

もう何も言えないなんてことが、

実際起きてます。

(私も少なからず、そんな調査をしました)

 

本来であれば、

売買契約の前に、

インスペクションを行い

契約をするかどうかを判断する。

 

これが大前提です。

いいか、悪いかどうかわからないのに

契約するなんて、

かなり危険なことです。

 

しかし、

インスペクションそのものが、

義務ではない現状、

売主側、不動産会社にとっては、

悪いことが見つかって、

売れなくなる、値段を下げられることに

リスクを感じて、

 

契約前にインスペクションをすることを

拒むこともしばしばです。

 

ですが、前述通り、

買い手側からすると、

かなりリスクがありますし、

契約前の調査を拒む

売主、不動産会社は逆に信頼ができませんので、

 

かならず、

契約前にインスペクションをしたい旨、

不動産会社に伝えましょう。

 

インスペクションのことが

不動産会社にもだいぶ、

浸透されているので、

多くの会社は対応してくれるはずです。

 

 

インスペクションはリノベーションのための調査ではない

上記写真はまさに前述した

中古住宅を購入後に建物の傾きに気づき、

買い主からの依頼で、

床下で基礎の傾きを調査した時のものです。

 

インスペクションとは車検と同じとお話しましたが、

一つ、全く違うものがあります。

 

車検はかならず、合格しないといけませんが、

インスペクションには合格はありません。

 

あくまで、その建物のコンディションを調べるものです。

人間の健康診断に近いと考えることができます。

 

健康診断も合格というのはありませんよね。

悪いところも良いところも、

現状を把握するための調査です。

 

インスペクションの次は

リノベーションをするための詳細調査が必要です。

 

上記はリノベーションのための調査を、

工務店と一緒に行っている様子です。

 

リノベーションのための調査の目的は

構造体の組み方を把握することです。

 

どのような架構になっているのかは、

間取りの変更、耐震補強を検討していく上で

とても重要なポイントになります。

 

すこし、おさらいです。

中古住宅+リノベのポイントは

順番です。

 

1.契約前にインスペクション(簡易調査)

2.契約後に詳細調査

3.見積受領後に、リノベの費用と合わせて、住宅ローン審査

 

順番を間違えないようにしてください。

 

中古住宅のリノベーション

現在、中古住宅を購入して、

セルフリノベをする方が増えているそうです。

いいですよね。

安くつきますし、

楽しそう。。。

 

でも、、、、、

本当に大丈夫かな、

と私は思ってしまいます。

 

上記写真はプレゼントデザインが

設計したリノベの解体後の写真です。

 

柱を支える土台が腐ってしまっています。

 

どうでしょう。

セルフリノベを目指すあなた。

どのように土台をやりかえるか

想像ができますでしょうか?

 

目を塞ぐしかないですよね。笑

もし、その改修方法がわかるなら、

私達、建築士や大工は必要ありません。

 

セルフリノベはあくまでも、

仕上げなどで行うことだけにしてください。

 

テレビでも時々、リノベ番組がありますが、

その施工方法をみて、

私は上の写真の女の子のように頭を抱えています。

 

安全、安心を担保する

構造や性能はプロに依頼しましょう。

 

リノベーションで使える補助金

個人的には中古住宅+リノベが

もっと増えていくように

補助金が増えればいいなと思います。

ただ、現在あるのは

なかなかハードルの高い物が多いです。

 

多くは断熱改修によるものが多いですが、

耐震改修も含めて、補助金がでるものがあります。

 

長期優良住宅化リフォーム推進事業

というものになります。

 

長期優良住宅というのは

新築を検討されたことがある方は、

聞いたことあると思います。

 

長く住める家をつくることで、

様々な税制優遇を受けることができます。

 

グリーン化事業でも補助金がでますね。

新築の場合は100万円ですが、

リノベの場合250万円から300万円補助されます。

 

大きいですね。

 

念の為、

どんなリノベでも300万円もらえるわけではありません。

耐震性、耐久性、維持管理、省エネ性の

それぞれの基準をクリアしないといけません。

 

リノベでより性能を上げるために使った費用の範囲内で、

お金がもどってくるのが補助金ということを

忘れないようにしましょう。

 

ということで、自己負担は増えますが、

もちろん、少ない投資で、

耐震性が向上し、経済的に快適な暮らしが

できるのであれば、

性能をあげるべきなのは間違いありません。

 

新築とリノベの長期優良住宅は耐震性が違う。

先程、長期優良住宅化リフォームという

言葉をご紹介しました。

 

「中古住宅でも長期優良住宅になるんだ!」

と思われた方も多いかもしれません。

 

しかし、実際は少し違います。

リフォームの場合の長期優良住宅の基準は

上部構造のみの判断となります。

 

言葉が難しいですが、

基礎は対象外で、木造躯体のみの評価をすることになります。

また、新築の場合の耐震等級2ではなく、

耐震診断の評点1.0以上が基準です。

この評点1.0はざっくりご説明すると

耐震等級1程度ということになるので、

 

リフォームと新築では

長期優良住宅の耐震性能は大きく違うことは

覚えておきましょう。

 

車と同じく、

新築と中古は違うのは当然なのですが、

中古住宅に新築性能を求める場合、

古ければ古いほど、

そのリノベーションの費用は高くなります。

当然ですよね。

 

古民家が好きということではなく、

できるだけコストを抑えて、

中古住宅+リノベをしたい人におすすめなのは。

 

2000年6月以降に確認申請が出された住宅です。

 

新耐震基準といえば1981年と

調べればでてきますが、

2000年にも耐震基準が大きく変更されています。

これ以降の住宅はベタ基礎や、

筋交いなどの端部に金物が設置されており、

現在の住宅にかなり近い構造になっています。

 

2000年といえば、

現在48歳のワタシにとって、

最近のイメージですが、

築年数は22年になります。

 

そう、十分中古住宅となります。

こうした家をリノベするのであれば、

基礎や構造にお金がかからず、

長期優良住宅化リフォームも可能になります。

 

ぜひ、ご検討ください。

 

古民家のリノベーションはありかなしか?

最後に古民家について。

今までの流れだと、

結局古い住宅はリノベするのは

難しいと言っているようです。

 

はい、その通りです。

 

古ければ古いほど、

新築住宅のような性能をもたせるには

かなりの費用がかかります。

 

これは避けれない現実です。

 

しかし、できないわけではありません。

そもそも新築と同じ性能をもたせる必要も

ないのかもしれません。

 

現在、新築住宅で性能の強化が叫ばれていますが、

こうしたリノベーションをしても

限界がある建物も新築の性能がカバーできれば、

古民家は古民家で残しておくべきだと思います。

日本の風景は大事ですからね。

 

また、リノベーションをするかどうかは、

住まい手の思い入れに大きく委ねられます。

 

工務店時代にリノベーションをさせてもらった

住宅がありました。

 

結構な費用がかかり、

家主様が悩まれたいたときに、

お孫さんの一言。

 

「おばあちゃん、この家は壊さず

残さんといけんよ。」

 

この言葉で、リノベーションすることになりました。

歴史を刻んだ住まいというものは

簡単に建て替えできるものではありません。

 

最後にプレゼントデザインの事例のご紹介です。

広島市東区牛田にある歯科医院です。

 

かなり傷みが激しく、

私は何回か建て替えをご提案したのですが、

院長からのこんな思いで、

リノベーションになりました。

 

「この歯科医院は地域の高齢者の

歯科治療をしており、

休むと困る高齢者が数多くいる。

地域医療として、できるだけ

休まず、リノベーションをしたい」

 

ハードルが高い仕事でしたが、

院長の思いに応えて、

リノベーションをしました。

 

下記施工事例です。

 

「歯科医院兼住宅リノベーション」