住宅を手に入れてから、
永続的かかる費用があります。
今回はそのうちの一つ、火災保険について、
ファイナンシャルプランナー建築士の川端が解説します。
火災に弱い
といわれている木造です。
まさしくその通りで、
一般の木造の建物は火災保険が一番高くなります。
ただし、例外があります。
省令準耐火構造
これにすると火災保険がぐっと安くなります。
ただし、省令準耐火構造にするためには、
条件や追加費用が必要です。
深く考えずに家づくりをしてしまうと、
省令準耐火構造にならない工法もあるので
要注意です!
注意点も含めて、解説いたします!
Contents
省令準耐火構造の火災保険費用と一般木造の火災保険費用の差は?
まずは火災保険について
基本的なところを抑えておきましょう。
火災保険には構造によって、
3つに分けられます。
M構造はマンション
T構造は耐火構造
H構造は 非耐火構造
つまり、木造はほとんど、
非耐火構造になります。
ここで大事になってくるのは火災保険料ですね。
2020年5月現在、保険価格2500万円での構造種別の保険料を
見てみましょう。
保険期間 10年、風災水災カバー(SONY損保)
T構造 119,372円
H構造 286,357円 差額 166,985円
住宅ローン35年の期間で考えると、
584,447円
住むであろう期間を50年とすると
834,925円
の差額となります。
結構大きな金額ですね。
もちろん、保険会社により、
金額は変わりますが、
生涯コストを考えれば、
少しでも抑えたいと思うところです。
では次にどうすれば省令準耐火構造になるか
確認していきましょう。
省令準耐火構造 追加費用がかかるのは?
上記は住宅支援機構の資料です。
住宅支援機構はフラット35で有名ですよね。。
上質な住宅をつくることを支援するのが支援機構です。
住宅支援機構の省令準耐火構造は仕様書通りに
家をつくれば、誰でも使う事が可能です。
省令準耐火構造にするための大前提は。
木は火に弱いので、
延焼の可能性があるところを、
不燃材で覆う
ことです。
つまり、省令準耐火の基本は、床以外を
不燃材である石膏ボードで木材を覆うことにより、
火災に強い木造住宅になります。
・・・でも、せっかくの木造。
梁などを見せたい方も多いかもしれません。
梁を出すことはは住宅支援機構仕様の省令準耐火では
不可能ですが、別途認定を取った工法で対応可能です。
ご興味のある方は、お問い合わせください。
大事なところを抑えておきましょう。
省令準耐火構造にすることにより、
いくら費用があがるか?
ここが知りたいですよね。
一般木造(非耐火構造)と省令準耐火の仕様の差は
下記です。
階間の天井(例 2階建ての1階の天井)
一般木造 石膏ボード 9.5mm
⇒省令準耐火 強化石膏ボード 12.5mm+グラスウールor当て木
最上階の天井(例2階建ての2階の天井)
一般木造 石膏ボード 9.5mm
⇒省令準耐火 石膏ボード12.5mm
難しい条件があるように、色々書いてありますが、
壁は一般的な木造でも使われる 石膏ボード12.5mmで問題ありません。
材料的に極端に値段があがるのは、
実際、天井の石膏ボードだけなんです。。
この追加費用は40坪程度の住宅で、
およそ20万円程度です。
こう考えれば、省令準耐火構造にしたい
という思いに駆られますよね。
ただ、ここで、
要注意!
材料費はさほどかかりませんが、
守らなければならないルールがあります。
これがルール通りに施工されていないと、
実際、火災が起きた時に、
保険金が下りない!!
という最悪の事態もありえます。
そのルールを確認しましょう。
省令準耐火構造 ファイヤーストップが必須
もし、火が壁の中に入った時に、
上階に延焼しないための手法が
ファイヤーストップといいます。
ファイヤーストップのルールは
壁の上部を、木材か断熱材で埋め、
隙間をつぶすことです。
上記写真の左はファイヤーストップのための、
木材が施工されていますが、
天井と隙間があります。
また、上部の断熱材にも隙間がある状態です。
この隙間から火がまわると屋根まで、
火が廻るリスクがあるので、不適切です。
是正処置として、
その隙間を断熱材で埋めることが必要です。
このように設計時には、仕様書通りに図面を書いていても、
現場では間違った施工がされていることが
多々あります。
設計事務所に依頼すれば、
監理業務の中で、こうした指摘をできますが、
設計施工の会社ではチェックが効かない可能性がありますので、
注意が必要です。
コンセントは省令準耐火仕様のものを使う!
スイッチやコンセントは
壁に穴をあけて施工します。
つまり、火災の弱点になりやすいのです。
住宅支援機構の仕様書にも、
コンセントやスイッチの防火対策について、
明記されていますので、
普通のスイッチをつけて、
火災が延焼した場合、
保険金が下りない可能性がありますので、
注意してください。
上記写真は、パナソニックの
省令準耐火対応のコンセントです。
高価なものではありませんので、
設計者に確認をしましょう。
省令準耐火構造は胴縁工法はつかえない。。
最近の高気密高断熱では、
壁にいっぱいの断熱材をいれて、
断熱性能を高めます。
この時の問題点が2つあります。
一つは断熱材が壁を押し、不陸(膨らみ)がでる
もう一つは電気配線のスペースがなくなる
これらの問題点をクリアするために、
高気密高断熱住宅は上記写真のような、
胴縁を打ち、スペースを確保するケースが多く見受けられます。
省令準耐火構造は
柱に直接石膏ボードが留め付ける
ことが要求されています。
胴縁のような細い材料では、
火が入った時に燃えてしまうのが、
理由です。
これらから、
高気密高断熱で省令準耐火構造を
取得しようと思うと、下記工夫が必要です。
・石膏ボードを押さない断熱材の採用
⇒ボード状の断熱材
・不陸が気にならない仕上げを採用
⇒左官など厚みのある仕上げ
省令準耐火構造にするだけであれば、
20万円程度の追加ですが、
断熱材の種類や仕上げの変更は
火災保険以上の費用がかかる可能性があります。
今、設計的な工夫により、
仕上げや断熱材を替えずに
省令準耐火構造を採用する方法を
準備中ですので、
また、実際の現場でお披露目したいと思います。
省令準耐火構造の費用のまとめ
最後に、今回のまとめです。
・省令準耐火構造の追加費用は20万円、
火災保険は35年で58万円お得になる
・ファイヤーストップはルール通り施工しないと
火災保険が降りない可能性があるので注意!
・コンセントやスイッチは防火の弱点、
適正な製品の施工が必要
・胴縁工法は省令準耐火構造にならない
仕上げや断熱材の工夫が必要
省令準耐火構造は誰でも使える分、
間違った施工をされていることが、
見受けられます。
火災保険料が安くなることも魅力的ですが、
実際、火事になって、
火災保険が降りない
なんて事態にならないよう、
しっかりと確認の上で、施工してもらいましょう。
火災保険以外にも家を建ててからかかる費用は
まだあります。
家を建てた後の費用で、失敗したくない方は
読まれることをオススメします。
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