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2020年省エネ基準見送りへ 〜広島のっぽの設計事務所が見る未来〜

現在SNSで、建築関係者がざわついています。

これからの住宅業界の風向きが変わって行きそうです。

ブラックと言われる建設業界を少しご紹介しましょう。

2020年の省エネ義務化が見送りに

東日本大震災以降、低炭素社会の実現のため、

2020年に住宅も省エネ基準を義務化していくと、

国交省のロードマップでも明示されてきました。

それが、2020年の省エネ義務化を先送りするという噂が流れました。

実はこの噂は去年くらいから、耳にしていたのですが、まさかなと思っていました。

しかし、本日、信頼ある友人から、国交省の話として確実であるとの情報が届きました。

愕然としました・・・

私は6年前に独立しました。そのきっかけは、東日本大震災後の原発事故です。

その時は、電気を作る街が、電気が灯らないどころか、人がいなくなる、、

そんな街をできるだけ作ってはいけないという思いでした。

その後、様々な出会いや勉強を経て、

省エネは原発脱却だけではなく、温暖化抑制、健康寿命延長、光熱費削減など、

様々な観点から推進していかなければならないと考えて、独立後様々な人に省エネの重要性を説明してきました。

独立直後、ある工務店のコンサルに2020年の省エネ義務化を話したところ、

「誰が決めたんや!お前責任持てるんか!」と返ってきました。

省エネを推進する仲間だけと話していたら、このような価値観が違う意見を聞くことはありませんが、

建設業には省エネ義務化による、設計業務の負担や、建設コスト増加を嫌がる多くに人たちがいます。

やらない人はかわいそうに馬鹿を見るのにと、私が正しいという道を進んできました。

ですが、実際は私が正しくなく、そのコンサルが正しいと思う未来を迎えようとしています。

建設業者の都合が良い住宅が、住む人にとって幸せな住宅なのか?

実は、この省エネ基準と同じように構造にも、住宅のグレーな部分があります。

一般の皆さんは、どの工務店や設計事務所に依頼しても、

最新の住宅であれば、地震に強い家ができると思われているのではないでしょうか?

実際はそうではありません。

木造住宅は4号特例というものがあり、

「建築士の責任」で設計した小規模の住宅は構造計算書を省くことができます。

目的は確認申請業務のスムーズ化、つまり建設業者や住まい手のために考えられたものですが、

実際は図面や構造計算を省き、経験と勘だけで家づくりをしている住宅業者が数多くいます。

結果、住まい手のメリットはほぼなく、建設業者の都合によく使われてます。

賢明な皆さんは、多少早く着工できるが、家の強度をちゃんと設計していない家よりも、

じっくり時間をかけて、安全な強度がある住まいを求めると思います。

写真は震災後の益城町の住宅です。

新しい家も多く、壊れています。

安く、早くという、ファーストフードのような考えで、家づくりをされては、

たまったもんじゃありません。

気候風土適応住宅

私が省エネ基準義務化が見送られたことに驚きを隠せなかったのは、

構造と同じように省エネ基準義務化に向けて、緩和基準が準備されていたからです。

それが、気候風土適応住宅です。

これは土壁、野地表し、木製建具、石場建てなど、いわゆる伝統建築に対応できるための措置です。

省エネ基準には大きく下記の2つの基準があります。

・外皮性能基準 窓、屋根・天井、外壁、床などの断熱性能

・一次エネルギー基準 冷暖房、給湯、照明、換気、創エネなど、設備も含めた性能

気候風土適応住宅では、外皮基準をクリアがするのが難しいということで、

独自の計算法により、外皮基準を満たさなくても、一次エネルギー基準を満たせばよいというルールです。

イメージ的には上記の様な感じでしょうか?

個人的には、確かに伝統建築は外壁に断熱材を入れることは難しいケースもありますが、

屋根と床にしっかり断熱材を入れて、窓をアルミ樹脂複合サッシにすれば、

十分に省エネ基準はクリアすると思いますので、なんともまどろっこしい話だと感じます。

第一、外皮は諦めて、設備に頼るなんて、それが伝統建築か??と疑問さえ、感じます。

断熱気密工事は、設備のように急に壊れることはなく、半永久的に住まいを経済的に快適性を担保してくれます。

結論としては、こんな中途半端な方策だったため、

伝統建築を作る建設業者に理解されず、反発を受け、省エネ基準義務化が見送られたのかもしれません。

良い家づくりの判断は、建設業者ではなく、住まいてに委ねられた

現在、新築着工数は経済指標の一つになっています。

そのため、「経済」を優先され、未来に残すべき「資産性」を無視されつづけています。

皆さんが夢を抱き、賢明に働いて作るい家は、間違えた作り手に委ねると、

気候変動が激しくなっていく、現代で暑く、そして寒く、加えて経済性も悪く、

さらには30年で建て替え無くてはならない、資産性が悪く

地球環境にも、未来の社会にも、ご家族の健康ににも寄与できない住まいとなります。

もちろん、省エネ基準義務化が見送られたといえ、

懸命に学び、誠実に建築に向き合っている実務者もいます。

私もそのうちの一人であることを、自信を持って言えます。

義務化が見送られて、「結局省エネは必要ない」など

根拠もない議論が増えるかもしれませんが、

皆さんが正しい選択をされることを心より、祈ります。