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ローコスト、建売住宅をオススメできない理由。一級建築士が解説します!

一生に一度の大きな買い物である

住宅の購入。

 

できるだけ安く抑えたい!!

 

と思いますよね。

私もそう思います。笑

 

ですが、

インスペクション(建物調査)を

100件以上してきた、

一級建築士の私は

ローコスト住宅や建売住宅を

オススメできません。

 

私が一番、

オススメできないと思う、

ローコスト住宅の断熱性能について、

解説します。

 

断熱の不適切施工 天井編

上記はローコスト・建売住宅の

断面のイメージ図です。

ピンク色が断熱を表してます。

 

素人のあなたは

この絵を見ても、

何が悪いか、

わからないと思いますが、

それは当然です。

 

作っている張本人も

何が悪いか分かっていません。

 

まずは天井裏から見ていきます。

これもぱっと見て気づく人は

プロでも少ないと思いますが

上記の写真は天井と外壁の断熱材が

つながっていない断熱欠損です。

 

基本的には断熱材は

一筆書き、

つまり、断熱材の隙間があっては

いけません。

 

しかし、多くのローコスト住宅は、

柱より薄い断熱材が

壁に使われています。

 

上記の図のように、

壁の断熱材が柱より薄いと、

天井の断熱材との隙間が

できてしまい、

 

冬は暖房した空気が

天井裏へ抜けてしまい、

 

夏は小屋裏の熱い空気が

壁の中へ入り込みます。

 

間仕切り壁でも

こうした隙間があると、

同様の問題が置きます。

 

実は簡単な改善方法があります。

それは天井の断熱材を

厚くすること。

 

以前より、

天井の断熱材は

夏は日差しの焼け込みを防ぎ、

冬は暖房が逃げるのを防ぐ、

とても重要な場所だと

私は訴えています。

 

ローコスト住宅であろうと、

全体に天井の断熱材の厚みは

増やすべきです。

 

ちなみにその気になる差額ですが、

高性能グラスウール16Kの

厚み105mmが3坪で7520円

18坪の天井だと、45,120円になります。

つまり、これを二重にしても、

45,120円の材料代の追加で

あるということです。

 

施工手間もかかると言われるかも

しれませんが、

これは定価ですので、

施工も含めても

大きな追加になりません。

 

逆の視点からお話すると、

薄い断熱材であれば、

断熱欠損が多くなり、

断熱の効果はほとんどありません。

 

つまり、45,120円かけた

断熱材が意味を持たない、

お金を捨ててるのに等しい話です。

 

本当に捨てるのは

住んだ後からの光熱費ですが・・・

 

断熱材の不適切施工 床下編

上の写真は床下点検口です。

新築住宅であっても、

いつかは劣化が起こり、

メンテナンスをしないと

いけない時期がきます。

 

床下には水道の配管などが

ありますので、

点検口は必要です。

 

しかし、この点検口が、

断熱の問題点なのです!!

 

再びこの模式図です。

多くのローコスト住宅は

床断熱を採用しています。

 

床で断熱を区画するので、

床下は外気に近い温度が入ってきます。

 

それを床断熱で遮断するのですが、

本来は下記のような床下点検口を

設置しなければなりません。

 

点検口にも断熱性能が必要です。

当たり前です!

多くの場合、

床下点検口は水道配管が集まる

洗面所に設置されます。

 

そうです。

裸になる洗面所です。

 

家を購入して、

洗面所が寒く感じるのであれば、

点検口が問題かもしれません。

 

断熱材の不適切な施工 浴室編

先程もご紹介しましたが、

床断熱の場合、

冬であれば、

床下に冷たい空気が入ります。

 

それを遮断するための

床断熱ですが、

断熱のできない床があります。

 

それは玄関と浴室です。

玄関は見たとおり、

床ではなく、土間です。

 

そして、浴室は

ユニットバスのバリアフリー化のために

浴槽の底が床より低い位置にあります。

 

よって、

玄関と浴室の床下は

床断熱ができないため、

基礎断熱をしないといけません。

 

上記写真はある建売住宅の

床下の写真です。

 

左側の薄いピンクに見えるのが、

断熱材です!

 

お!

建売住宅でも基礎断熱が

ちゃんとされている!!

 

と思ったあなた、

残念ながら、これは不適切な施工です。

 

洗面所の点検口からのぞいて、

浴室の床下が見えるということは、

冷たい空気が浴室に流れ込む

ということです。

 

なぜ、見えるのかですが、

洗面所の床下から、

浴室の床下へ点検、

メンテナンスをするために

人通口、人が通れる道を設置します。

 

 

しかし、この人通口が開放されていると、

 

冷たい空気が浴室の床下に

流れ込み、

基礎断熱をした意味はありません。

 

そのため、床断熱と基礎断熱を切り替える場合、

上記のような断熱材で仕切られた

人通口を設置します。

 

しかし、こうした指摘を

ローコスト住宅や建売住宅の

施工会社にしても、

 

みんな、初めて聞いたような

顔をします。

 

このようによく考えれば、

当たり前の話でも、

施工者は分かっていないのです。

 

この知識不足が、

多くの工務店や不動産会社に見られます。

 

先程の基礎断熱で使われた費用は

1万円に満たないですが、

 

全く効果や意味のない

施工にそのお金が

使われているのです。

 

正直、私はこのような施工であれば、

無断熱のほうがマシとすら

思います。

 

いまだに採用されるアルミサッシ

上は私の自宅の窓の写真です。

私は家づくりの仕事をしていながら、

15年前にマンションを購入しました。

 

妻の町に住みたいという希望を

受け入れた形ですが、

現在は後悔しています。苦笑

 

冬の朝はこの結露を拭くことから

始まります。

 

毎日毎日、

ウレタンスポンジを

4回絞るほど結露します。

 

ちなみに私も当時こだわり、

すべてペアガラスです。

 

しかし、空気層が4mm。

アルミサッシのため、

結露が止まりません。

 

結露の拭き掃除だけであれば、

手間なだけですが、

そういう単純な話ではありません。

 

これは玄関のガラスブロック窓の下の状況です。

玄関ドアも鉄板なので、

玄関自体が冷えやすくなります。

 

そうすると何が起きるのか、

壁体内結露です。

 

窓の表面は結露を拭けますが、

壁の中は拭けません。

 

それが経年劣化により、

壁の中の断熱材に結露水が

染み込み、断熱性能を失います。

 

断熱材は乾燥した空気を

閉じ込めることにより、

その断熱性能が発揮されます。

 

水に濡れた布団は暖かくないことは

想像するのは簡単ですね。

 

悪循環で、結露が増大し、

壁の下地の石膏ボードを膨らまし、

タイルが剥がれる結果になります

 

ちなみにこのタイルは

結露対策のための

エコカラットという

吸湿性能あるタイルです。

 

吸湿性能がある建材も

限界があるという

確固たる証拠ですね。

 

私のマンションの話をしましたが、

ほとんどの建売住宅や

ローコスト住宅はアルミサッシです。

ローコスト住宅の断熱施工の問題点 まとめ

断熱施工の問題点のまとめです。

1.天井も外壁も断熱材が薄く隙間ができている

2.床断熱なのに点検口に断熱性能がない

3.浴室の床下の断熱施工が不十分

4.窓が熱を通しやすいアルミである

 

これらをすべて解決する方法があります。

外気と同じ室温で過ごすことです。

 

外と中が同じ温度であると承知していれば、

暑さも寒さも当たり前になります。

 

しかし、先日、建売住宅で

設計性能評価と建設性能評価を取得している

物件がありました。

 

この物件は省エネルギー等級4を

取得しています。

 

一般の人から見れば、

省エネ住宅と考えるでしょう。

 

残念ながら、

断熱性能においては

前述通りのような残念な施工です。

 

建設性能評価は第三者が

検査に来ているのですが、

こうした施工の問題を

見つけることができません。

 

日本の検査体制の問題点です。

過去に検査の問題点を

ブログにまとめてますので、

後悔しないように

読まれることをオススメします。

欠陥住宅を防ぐ現場の検査の問題点

 

また、低性能な住宅は

建てた後の費用がたくさんかかります。

建てた後に後悔しないように

下記ブログもぜひ目を通してください。

家のメンテナス費用を抑える方法