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「おすすめの断熱材」という言葉に騙されるな!本当に高品質な家づくりを解説

最近は何を購入するにも

「口コミ」が気になりますね。

ましてや、一生に一度の

マイホームとなれば、

慎重になるのは仕方ありません。

 

最近、うわさの高気密高断熱住宅は

特にいろんな情報があります。

 

今の時代、「オススメの断熱材!」と

検索すると、本当にたくさんの情報が

ヒットします。

 

日本エネルギーパス協会講師、

Forward to 1985 Energy Life理事であり、

北海道の高気密高断熱資格 BISを取得している

高気密高断熱住宅の専門家の川端が、

 

しっかりと担保された

高性能な住宅にするための

断熱材の知識を解説します!!

 

最後まで読んでいただければ、

人のオススメで左右されるのではなく、

 

失敗しない高性能住宅のための

断熱材の知識が得れますので、

どうぞ、お付き合いください。

 

「オススメの断熱材にだまされるな!」① そもそも断熱材とは何?

あなたは「断熱材」を特殊な

建築材料だと思われてないでしょうか?

 

断熱材は実は布団と全く原理は変わりません。

 

「乾燥した空気」を閉じ込めているのが、

断熱材であり、布団でもあります。

 

湿気た布団を天日干しをして、

乾かしてあげると

ホカホカの布団になりますよね。

 

湿気た空気=空気の中に熱を通す水分が多い

ことにより、熱を通しやすく、

暖かくない布団になりますが、

天日干しすることにより、

乾いた空気に入れ替わり、

断熱性能の高い布団になります。

 

ちなみにペアガラスの中に入っているのも、

乾燥した空気です。

 

ガラスにヒビが入り、

湿気た空気が入ると、

一気に結露してしまいます。

 

布団と違って、断熱材の場合、

天日干しができないので、

湿気が入らないように防露対策が

重要になります。

 

「何」で乾燥した空気を

閉じ込めるかにより、

断熱材の種類が変わります。

次に断熱材の特徴を解説します。

「オススメの断熱材にだまされるな!」② 断熱材の特徴

ここでは、乾燥した空気を「何」で閉じ込めるかを

ご紹介します。

その材料によって、断熱材の特徴が生まれます。

 

上記写真はグラスウールです。

ガラス繊維により、乾燥空気を閉じ込めます。

 

良く石綿(アスベスト)と勘違いされますが、

繊維の細さが全く違いますので、

健康リスクはありません。

 

材料がガラスですので、

 

「火や熱に強い」のが

特徴になります。

 

同じく、ロックウールという、

岩綿から作られた、断熱材も

同じ特徴があります。

値段が安いというメリットもありますが、

丁寧に施工しないと、

隙間ができやすい材料なので、

 

施工者、大工の技術が問われる

材料ともいえます。

 

布団同様に断熱材に隙間はあると

そこから冷気が入り、

壁の中で結露を起すリスクが生じます。

 

よって、よく断熱材の特性を

理解していない人が施工すると、

その性能通りの効果が

生まれないことがあります。

 

続いて、セルロースファイバーをご紹介します。

セルロースは繊維という意味ですが、

主原料は新聞紙です。

考え方はグラスウールやロックウールと同じで、

乾燥した空気を閉じ込めていますが、

新聞ということもあり、弱点である

シロアリの被害を防ぐため、

ホウ酸処理されており、

健康でエコな断熱材といえます。

 

また、グラスウールやロックウールとは違い、

専門の会社が施工するので、

隙間などなく施工できることが期待できます。

 

しかし、注意点としては、

調湿性

です。

 

私と同じ年代の方(1974年)の方は、

畳の下に古新聞を敷いて、

湿気や新聞のインクによる、

虫除けに使っていた記憶があるかたも

多いと思います。

 

その新聞紙の特徴で、

セルロースファイバーが調湿性があると

メーカーも含めて、言われていますが、

 

私はその調湿性には

限界があると考えています。

 

湿度に限らず、すべてのものは高いところから、

低いところに流れます。

冬は、室内より室外の方が

乾燥しています。

つまり、家の外から、

室内湿度が流れることはありませんし、

セルロースファイバー自身が湿度を持つことの意味は

 

先に上げた湿気た布団と

同じことになりますので、

私は推奨しません。

セルロースファイバーであっても、

しっかりと防湿対策をしましょう。

 

なにより、畳下の新聞は

毎年、大掃除で交換してましたが、

断熱材はそんことできませんので!!

 

つづいて、最近増えているのは

発泡ウレタン断熱材です。

メリットとしては、

セルロースファイバーと同じく、

専門の会社が施工するので、

ある程度、信頼はおけます。

 

ある程度という意味は、

熟練度の違いによって、

隙間ができる可能性もあるので、

しっかりとサーモカメラなどを使い、

監理を行うことが推奨されます。

(これはすべての断熱材に言えます)

 

発砲系の断熱材のもう一つの

大きなメリットは、

気密性能が取りやすい

ことにあります。

 

吹き付けたあとに、

整髪料のムースのように

ボコボコ膨らむので、

隙間を潰していくことに優れ、

結果として、気密性能が高まります。

 

このメリットで、

最近では高気密高断熱の経験がない

大工しかいない工務店であっても、

高気密高断熱住宅を作れるということで、

高性能住宅ビギナーの工務店が

採用している傾向があります。

 

ただ、注意点もあります。

よく言われている火災時の話とは

違う話です。

 

私が行ったインスペクションにおいて、

この発泡ウレタン断熱材を使用している、

ローコスト住宅をつくる工務店の現場を

見る機会がありました。

 

コストを抑えるため、

外壁は構造用合板などの面材を貼らずに

透湿防水シートのみの場合があります。

透湿防水シートは上記のようなシートで、

水は弾くが、湿度は通すという特殊な紙です。

 

ウレタンの断熱材は実は身の回りにあります。

台所のスポンジとほとんど同じものです。

 

つまり、水を含みやすい物質です。

 

外に海や川、もしくは湿気が溜まりやすい、

盆地の場合、中より外の方が湿度が高くなります。

その場合、室内に向かって、湿度の移動が起こり、

壁の中で結露を起したり、

湿度を含んだ断熱材がクロスを変色させる

現象を確認しました。

 

グラスウールやロックウール以上に

湿度に影響されやすい断熱材のため、

 

外壁の面材なども含めて防露対策を

強くオススメします。

 

最後にフェノール系断熱材を解説します。

これらの材料は乾燥した空気ではなく、

熱を通しにくいガスを閉じ込めているので、

薄くても高い断熱性能があります。

 

また、フェノール系の材料は

フライパンの取手にも使われており、

熱にも強い特徴があります。

 

ただ、フェノール系断熱材に限らず、

こうしたボード上の断熱材は、

定格の大きさで作られているため、

壁の中に入れるにはカットなどの手間が多く、

ゴミがたくさん出てしまいます。

 

せっかくあなたが支払ったお金が

ゴミ箱を埋め尽くす断熱材になるのも

もったいない話です。

 

ゴミにならないようにするためには、

こうしたボード断熱材は

壁の外に貼る、付加断熱や基礎断熱などに

使うことで、省資源化になります。

 

他にもたくさんの種類の断熱材がありますが、

それぞれ、メリットとデメリットがあります。

 

何が優れているということはなく、

あなたの予算や考え方により、

断熱材を選び、性能がきちんと発揮され、

デメリットが小さくなるように施工することが、

重要です。

 

次に断熱材の種類より、

大切なことを解説いたします。

 

「オススメの断熱材にだまされるな!」③ 種類よりも大切な厚み

上記、写真は私が設計した住宅に使った

断熱材の納入時の写真です。

トラック一杯の断熱材ですが、

これは壁の断熱材だけです。

 

多くの人は断熱材の種類に注目をしますが、

本当に大切なのは断熱材の厚みです。

 

上記は28年基準(長期優良住宅などの基準)の

部位ごとの熱抵抗値の基準を示してます、

 

難しい言葉ですね。

熱抵抗値。

 

でもそんなに難しくはありません。

熱に抵抗する値なので、

数字が大きくなればなるほど、

断熱性能が高くなると、

ご理解ください。

 

ここで注目していただきたいのは、

壁と屋根の熱抵抗値の違いです。

 

日本の多くの沿岸部が入っている

6地域では、屋根は4.6に対して、

壁は2.2となっています。

 

これを高性能グラスウールで厚みを計算すると

4.6×0.038=0.178 つまり178mmになります。

同じく壁を計算すると、

2.2×0.038=0.0836 83.6mmになります。

 

大切なことは

屋根は壁の倍の厚みの断熱材を

入れるのが基準ということです。

 

私は工務店時代、

外断熱の家を作る会社にいました。

しかし、

夏も冬も過ごしやすい家ということで、

つくった家が夏暑いという

クレームを度々、お客様から聞きました。

 

その時の屋根断熱材は

ポリスチレンフォーム 50mm

熱抵抗値は

0.05/0.028=1.78

ということで、

基準の半分の性能

がないことを

色々勉強した結果、

知りました。

 

当時の会社は、

大手の断熱材メーカーが行っている

フランチャイズの工法なので、

間違いがないと、

全く気づかなかったのです。

 

なぜ、気づかなかったのかというと、

これらの建物は28年基準をクリア

していたからです。

 

?????

 

私の話、矛盾していますね。

この話は15年前くらいの話ですが、

現在でも同様の事が起きています。

 

長期優良住宅やフラット35の優遇を受けれる

28年基準は建物全体の平均熱貫流率を計算しています。

 

あくまで平均なので、

屋根の断熱性能が悪くても、

窓や外壁の性能がその分を補う性能であれば、

Ua値としてはクリアしてしまうのです。

 

これは日本の温熱計算の闇の部分です。

 

高性能住宅を建てたつもりが、

2階が暑かったり、

足元が寒かったりするのは、

部位ごとの性能が不足している

可能性が高いのです。

 

衣類でも同じですよね。

 

とても暖かいズボンを履いていても、

上半身がTシャツだったら、

冬寒いのは当然ですし、

 

身体が日陰に入っても、

頭が日差しにさらされていれば、

夏は当然暑いと感じます。

 

この熱抵抗値は28年基準での数値ですが、

G1、G2、G3になっていっても、

同じ考え方で屋根の断熱材の厚みを

確保することを推奨します。

 

ちなみにプレゼントデザインが現在設計中の

神辺町の家の仕様は、

外壁が 高性能GW105mm+ネオマ40mm

熱抵抗値は4.58

天井は高性能GW310mmで

熱抵抗値は8.15になります。

天井は壁の1.78倍の性能があります。

 

28年基準の天井(4.0)と外壁(2.2)と

ほぼ同じ割合(1.8倍)になっています。

 

 

それぞれの部位ごとに必要な性能がある。

これを意識をもって設計することにより、

夏熱く、冬寒い温熱設計が

難しい温暖地であっても、

快適な住環境をつくることができるのです。

絶対に忘れないようにしてください。

 

「オススメの断熱材にだまされるな!」まとめ+気密も忘れずに

はい、長いブログになってしまいましたが、

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

まとめです。

① 断熱材は布団と同じ、
乾燥した空気を閉じ込める

② 断熱材の種類はさまざま、
いろんなメリットデメリットがある

③ 断熱材の種類よりも、
部位ごとの適切の断熱材厚みを
確保することが大事

 

断熱材の種類にこだわりすぎるのは

良いことでは有りません、

プレゼントデザインでは、

デザイン的に勾配天井で

屋根を薄く見せたい時は、

フェノール系の断熱材と

グラスウールを併用します。

 

天井をフラットに伸びやかに

部屋を構成したい場合は

高性能GWのみを使います、

 

断熱材だけの種類だけに囚われると、

本当に快適な家にたどり着くません。

ご注意ください。

 

逆に断熱材にこだわっている工務店は、

デザインなどに限界があるともいえます。

 

最後にもう一つ。

断熱材は衣類で言えば、セーターと同じです。

真冬の夜にセーターだけで外にいる人がいませんよね。

断熱は気密(ウインドブレーカー)がセットで、

その性能が発揮されます。

 

その気密は施工会社によって、

技術レベルがさまざまです。

 

かならず、気密測定を行ってもらい、

最低でもC値1.0以下、できれば0.5以下が可能な

工務店に依頼しましょう。

 

また、どこまで性能を上げればよいか、

悩む方も多いと思います。

 

下記ブログで地域ごとの費用対効果シートを

作成する大切さを解説しています。

 

適切な性能を知りたいかたは

ぜひ読むことを強くオススメします。

 

費用対効果解説ブログ